記事の概要
「SIerはオワコン」という書き込みを見た翌日に、大手SIerの内定や安定した待遇の話を聞き、どちらを信じればいいのか分からなくなっていないだろうか。
入社してから「こんなはずではなかった」と後悔したくない気持ちは、多くの就活生に共通している。SI業界の今後は、業界全体ではなく、企業タイプや商流の位置、新人の配属と育成で判断できる。
この記事では、SI業界の今後と将来性を判断する3つの視点から、「将来性がない」と言われる課題の正体まで解説していく。
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1.情報処理サービス業界とは?IT業界との関係と全体像
「情報処理サービス業界」という言葉を見かけても、IT業界との違いがよくわからず、戸惑う就活生は多い。
実は、この業界名は国の統計分類上の呼び方であり、実務ではSIer(シーアイアー)や受託開発企業、システム運用企業など、さまざまなビジネスモデルの企業が混在している。
1-1.情報処理サービス業界の定義
情報処理サービス業界とは、企業のシス…
1.SI業界の今後は?結論と将来性を判断する3つの視点
SI業界の今後を知りたいと思ったとき、多くの就活生は「将来性があるのか、ないのか」という二択で考えがちだ。しかし、その問い方では就職先として判断できる材料が足りない。
業界全体の評価と、志望する企業で実際に得られる経験は同じではないからだ。この章では、業界の見方を整理し、記事全体で何を判断できるようになるのかを先に示す。
SI業界は一括りで評価できず企業ごとの差が大きいため、就活生は業界の是非ではなく企業選びの軸で判断すべきである。この章では、結論と判断の視点を、次の3つの項目で順に確認していく。
- 結論は業界全体より企業ごとの差が大きい
- 将来性を判断する3つの視点
- この記事で確認できること
1-1.結論は業界全体より企業ごとの差が大きい
結論から言えば、SI業界は一括りで評価できない。同じSIerという名前でも、将来性は企業ごとに大きく変わるため、業界の是非だけで就職先を決めるのは判断材料として不十分である。
理由は、SI業界が「システムを作って顧客に納める仕事」の総称であり、その中身が企業によって異なるからだ。
自社の製品やサービスを持つメーカー系、特定の企業グループの情報システムを担うユーザー系、複数の顧客から案件を受ける独立系では、仕事の進め方も成長の機会も違う。
DX需要や人材不足といった業界共通の追い風があっても、そのメリットを自分が受け取れるかは企業次第になる。
例えば、同じ「DX案件」を扱っていても、要件定義や顧客との折衝に早くから関われる会社と、下流のテストや保守を中心に任される会社では、3年後に身につくスキルが大きく違う。
業界の将来性ニュースを見て安心した、あるいは不安になったという段階で止まらず、志望企業の仕事内容まで確認することが大切だ。志望企業ごとの違いを見分けるときは、以下の点が手がかりになる。
業界全体の話と分けて、志望企業ごとに確認したい項目は次の通りだ。
- 主に自社製品を扱うのか、顧客の案件を請け負うのか
- 上流工程(要件定義・設計)に若手が関われる時期
- 研修後の配属がどのように決まるか
- クラウドや新技術への投資を継続しているか
このように、業界の評判と企業の実態を分けて見ると、判断の軸がはっきりする。次の見出しでは、企業ごとの差を具体的に見極めるための3つの視点を整理する。
1-2.将来性を判断する3つの視点
SIerの将来性を判断するときは、次の3つの視点で見ると整理しやすい。
1つ目は企業タイプだ。メーカー系は自社製品と結びつくシステムを開発するため、事業の変化に合わせて技術投資を続けやすい傾向がある。
ユーザー系は安定性が高いが、扱う領域が限られやすい。独立系は技術の幅を広げやすく、受注環境に波がある点に注意したい。どのタイプが優れているかではなく、自分が何を経験したいかで選び方が変わる。
2つ目は商流の位置だ。商流とは、顧客からどの会社を経由して仕事が流れてくるかという構造のことである。
元請けに近いほど要件定義や顧客折衝に関われ、多重下請けの末端に近いほど作業の範囲が狭くなりやすい。同じ年収や知名度でも、商流の位置によって3年後に得られる経験は大きく変わる。
説明会やOB訪問で聞きたい質問を、商流と育成の観点から挙げておく。
商流と育成の観点で、説明会やOB訪問のときに確認したい質問は次の通りだ。
- 新人は何次請けの案件に配属されることが多いか
- 上流工程に入るまでに何年かかるか
- 配属は本人の希望と研修評価のどちらで決まるか
3つ目は新人の育成と配属だ。新卒にとって最も影響が大きいのは、業界の将来性そのものより、最初に配属される案件と教育の仕組みである。
研修が手厚く、先輩が上流工程の仕事を段階的に任せてくれる会社なら、業界の変化にも対応しやすい。逆に、配属後の教育が現場任せになっている会社では、努力しても技術が身につきにくい可能性がある。
この3視点を並べて比べると、同じSIerでも志望先ごとの違いが見えてくる。
1-3.この記事で確認できること
この記事では、SI業界の現状と今後の動向から順に確認していく。市場規模やDX需要、人材不足といった業界の基本データを把握したうえで、「将来性がない」と言われる理由が新卒にどの程度影響するのかを整理する。
業界の課題を知ることは、志望企業の良し悪しを見極める準備になる。
次に、SI業界に将来性がある理由を確認し、メーカー系・ユーザー系・独立系の違いを比べる。AIや内製化がSIerの仕事と新卒の初期キャリアにどう影響するのかも見ていく。
AIの影響は「仕事がなくなるか」ではなく、「どの業務を任されるか」で捉えると判断しやすい。
最後に、Web系・事業会社との経験の違いを比べたうえで、企業選びで使える確認項目やOB訪問で聞くべき質問を紹介する。業界の話を企業選びの具体的な行動につなげることが、この記事のゴールである。
自分が後悔しない就職先を選ぶために、まずは次の章で業界の現状を一緒に確認していこう。
2.SI業界の動向を就活生向けに整理:現状と市場の動き
SI業界の今後を考えるには、まず市場の現状を正しく把握することが欠かせない。ネット上では「オワコン」という声も見かけるが、数字や構造を見ると一面的な評価であることがわかる。
ここでは新卒が押さえておきたい動きを、3つの視点から整理する。DX需要を背景にIT投資は拡大傾向にある一方、人材不足など業界が抱える構造的な課題も同時に存在する。
- 国内IT市場とDX需要の動き
- SIerを取り巻く人材不足の現状
- 新卒が押さえておきたい数字の見方
2-1.国内IT市場とDX需要の動き
国内のIT投資は、DX(デジタルを使った業務や事業の変革)を背景に拡大傾向にある。企業が既存の業務システムを見直し、クラウドや新しい基盤へ移行する動きが続いているからだ。
特に目立つのは、古い基幹システムを刷新するレガシー刷新の需要である。業務を止めずにシステムを入れ替えるには、設計・移行・保守まで一貫して担える体制が必要になる。
こうした案件を受けるのがSIerの中心的な役割であり、需要が続く限り一定の仕事が残る。
ただし、市場が伸びていることと、すべての会社が同じように成長していることは別の話だ。市場全体の拡大は、どの企業が案件を取れているかを示すものではない。
就活生は、業界の追い風を前提にしつつ、志望企業がどの領域のIT投資を取り込んでいるかを確認する必要がある。業界の動きを企業ごとに照らすための確認項目を、先に整理しておこう。
業界の動きを見るときに確認したい項目は次のとおりだ。
- DXやクラウド移行など、今後も続く需要を扱っているか
- レガシー刷新のような既存システムの案件を持っているか
- 新規開発と保守・運用のどちらに比重があるか
これらの項目を見れば、業界の大きな流れと企業ごとの違いを切り分けられる。業界全体が伸びている局面でも、志望企業がその流れに乗っているかどうかで、入社後に得られる経験は変わる。
ここで気になる企業の動きを確認したい場合は、志望企業の事業内容と案件領域を一度整理しておくとよい。
2-2.SIerを取り巻く人材不足の現状
SI業界では、IT人材の不足が長く続いており、採用や育成の方針にも影響を与えている。需要に対して技術者の数が追いつかないため、各社は新卒採用を重視する傾向にある。
人材が足りない状況では、新人を早い段階から戦力として扱う企業も出てくる。一方で、研修を手厚くして育てる余裕がない企業では、配属後に実務を任される時間が短くなることもある。
新卒にとっては、同じ人手不足でも育成の質が大きく違う点が重要になる。
人材不足は、新卒に有利な側面と注意すべき側面の両方を持つ。採用人数が多い企業は選考で選ばれやすい反面、入社後の育成計画が十分かを確かめる必要がある。
説明会やOB訪問で、研修期間や配属後の業務内容を具体的に聞いておくと判断しやすくなる。人材不足の影響を見極める観点としては、以下の項目が参考になる。
人材不足の影響を見極めるために確認したい項目は次のとおりだ。
- 新人研修の期間と内容が明示されているか
- 配属後に最初の数年で任される業務が具体的か
- 若手が上流工程に関わる機会があるか
これらを確認すると、人手不足が育成にプラスに働いているかどうかが見えてくる。志望企業の情報を集める際は、採用人数の多さだけで判断しないことが大切だ。
2-3.新卒が押さえておきたい数字の見方
市場規模の数字は、業界全体の方向性を示す材料であり、個別企業の将来性を保証するものではない。
なぜなら、市場が拡大していても、特定の企業が成長しているとは限らないからだ。
例えば「IT市場が伸びている」というニュースを見ても、その中でどの領域が伸びているかは別に確認する必要がある。数字を見るときは、出典が明らかか、いつの調査かを必ず確かめることが前提になる。
なお、出典がはっきりしない数字は、判断材料として扱わない方がよい。
数字を使って志望企業を比べる際は、業界全体の数値と企業個別の情報を分けて考える。業界が伸びている事実は安心材料になるが、入社後の経験や成長機会は企業ごとに異なる。
数字を読むことは、企業選びの出発点として使うのが適切である。数字を読むときに意識したい視点を、次にまとめた。
数字を読むときに押さえたい視点は次のとおりだ。
- 出典と調査時期が明記されているか
- 業界全体の数字と企業個別の数字を混同していないか
- 数字の背景にある需要の中身まで確認しているか
数字の出所と中身を確認できれば、ネットの断定的な意見に流されにくくなる。次の段階では、SIerが抱える課題を整理し、将来性がないと言われる理由を新卒の立場から見ていく。
3.SI業界の課題と「将来性がない」と言われる理由
SI業界は「将来性がない」と言われがちだ。ただし、その評価は業界全体で一括りにできるものではない。ここでは、よく挙げられる課題を整理し、それが新卒の自分にどの程度影響するのかを見ていく。
課題を知ることは、企業を不必要に怖がるためではない。どの課題が、どの企業の、どの仕事に効いているのかを切り分けるためだ。
- 多重下請け構造と利益率の課題
- 人月商売モデルの限界
- レガシー技術への依存と技術変化への遅れ
- ネガティブ情報が新卒に当てはまる範囲
3-1.多重下請け構造と利益率の課題
SIerの課題として最もよく挙げられるのが、多重下請け構造による利益率の低さである。元請けから二次、三次と仕事が流れる構造では、末端に近づくほど取り分が減っていく。
その結果、現場の作業に対する単価が抑えられやすくなる。商流の深い位置にいる企業ほど、この影響を強く受けやすいことは押さえておきたい。確認方法は簡単だ。志望企業が元請けなのか、下請けなのかを説明会やOB訪問で聞けばよい。
商流の位置を見極めるには、次の項目で確かめられる。
商流の位置を確認する際に見る項目
- 顧客から直接受注している案件の割合
- 二次請け以下の案件に従事する人数の割合
- 自社がプロジェクトの要件定義に関わるかどうか
自社が顧客から直接受注しているのか、別の会社から仕事を受けているのかで、将来の給与や裁量の伸びしろは変わってくる。
上記の項目を確認すると、同じSIerでも立ち位置の差が見えてくる。元請けに近い企業ほど、業界の課題の影響を受けにくいと考えやすい。
3-2.人月商売モデルの限界
SIerの収益の多くは、人月単位で契約を結ぶ人月商売に支えられている。人月とは、一人が一か月働いた分の工数を指す。
人月商売は、人を増やすほど売上が増える仕組みだ。そのため、作業を効率化して少人数で成果を出すインセンティブが働きにくい。
結果として長時間労働や、待遇の伸び悩みにつながりやすい。新卒にとっての影響は、入社直後の業務内容に表れる。単純な作業が中心の配属になると、成長実感を得にくい場合がある。
| 比較軸 | 人月商売中心の企業 | 成果型・製品型に寄る企業 |
|---|
| 収益の増え方 | 人数に比例しやすい | 仕組みや製品で伸びやすい |
| 新卒の成長機会 | 作業の分担が細かくなりやすい | 上流や設計に関わりやすい |
| 待遇の伸び方 | 年次に依存しやすい | 成果に応じて差が出やすい |
表の違いを知ると、志望企業の説明会で何を聞くべきかが明確になる。「若手が上流工程に関わる時期はいつか」「成果が評価に反映される仕組みはどうなっているか」を具体的に質問してほしい。
3-3.レガシー技術への依存と技術変化への遅れ
古いシステムの保守や運用を中心に抱える企業では、技術の変化に追いつきにくい傾向がある。これが、SIerは「技術が身につかない」と言われる一因だ。
一方で、同じSIerでも、クラウドやデータ活用などの新しい案件に早くから取り組む企業もある。技術の変化に対応しているかどうかで、数年後に身につく経験の幅は大きく変わる。
具体例:入社前に見分けたい2つのケース
A社は既存システムの保守が仕事の大半を占め、新しい言語や環境に触れる機会が少ない。B社はクラウド移行の案件を複数抱え、若手も設計レビューに参加している。
同じSIerでも、数年後に手元に残るスキルは大きく異なる。
見分けるには、直近の案件の技術スタックや、社内の研修で新技術を扱っているかを確認するとよい。ホームページの事例紹介も参考になる。
3-4.ネガティブ情報が新卒に当てはまる範囲
ネット上の「SIerはやめとけ」という声の多くは、転職を考える社会人や在職者の視点から書かれている。新卒の入口の実態とは、前提が違う部分が多い。
在職者の不満は、長年の業務や評価制度への不満が中心になりやすい。新卒は研修期間を経て配属されるため、入社時点での経験や評価の仕組みは、在職者の話とは異なる場合がある。
そのため、ネガティブな口コミを見たときは、投稿者の立場と時期を確認することが大切だ。新卒に関係があるかどうかを判断する材料になる。口コミを参考にする際は、投稿の背景を以下の点から見直したい。
口コミを読むときに確認したい項目
- 投稿者が新卒入社か、中途入社か
- 書かれた時期が何年前か
- 話題が配属・研修・評価のどれに関係するか
これらを確認すれば、ネガティブ情報のうち自分に当てはまる部分と、そうでない部分を切り分けられる。次のセクションでは、業界全体で今後も必要とされる根拠を整理する。
4.SI業界の今後に将来性がある理由
SI業界の将来性を考えるとき、まず押さえたいのは「仕事がなくなるかどうか」より「社会がシステムを手放せるかどうか」である。社会を支える情報システムは簡単に止められない。
この視点に立つと、業界の見え方は変わる。ただし、ネット上の『オワコン』という声だけで判断すると、需要の実態を見誤る可能性がある。将来性があるといえる根拠は、以下の3つの観点から確認できる。
- 大規模システムの需要はなくならない
- DXとレガシー刷新が続く背景
- 業界の重心が上流・DX領域へ移りつつある
4-1.大規模システムの需要はなくならない
銀行の勘定系や官公庁の基幹システムなど、止まると社会に大きな影響が出るシステムは、今後も更新や保守が続く。
理由は単純である。基幹システムは一度作ると何十年も使われることが多く、法改正や制度変更のたびに改修が必要になるからだ。業務を止めずに中身だけを入れ替える作業は、専門知識を持つ会社に依頼される傾向が強い。
具体的には、次のような仕事が継続的に発生している。新しい税制や法律に合わせた業務システムの改修、古い言語で書かれたプログラムの保守、災害時に使う情報基盤の強化などである。
入社前に確認したい、基幹系案件の有無
- 金融・公共・インフラなど、止められない業務を扱う顧客がいるか
- 保守・運用と新規開発のどちらが中心か
- 法改正対応や制度変更の案件が毎年あるか
上記の項目を確認すると、その企業が「止められない仕事」を持っているかが見えてくる。志望企業の事業紹介や説明会資料で、顧客業種と案件の種類を照らし合わせることが判断の第一歩となる。
この需要が続く限り、SIerが担う役割は消えない。やり方が変わっても、社会のシステムを預かる役割は残る。就活生が企業を見るときは、この『残り続ける仕事』をどの顧客から受けているかを確認したい。
4-2.DXとレガシー刷新が続く背景
企業のDX投資と、古いシステムを新しい仕組みへ移す作業が、SIerの需要を今も支えている。DXは一部の先進企業だけの話ではなくなっている。
背景には、古いシステムが業務の足かせになっているという課題がある。複雑に組み上がったレガシーシステムは、改修のたびに費用と時間がかかり、新しいサービスを作る速度を落とす原因になる。
そのため、クラウドへの移行やデータ基盤の整備が企業の優先課題になっている。
例えば、ある製造業の企業が在庫管理の仕組みを作り直すケースを考えてみよう。既存システムと新しいクラウド環境をつなぎ、データを移し替える作業には、設計・検証・運用の知識が必要になる。
こうした移行案件は一度きりでは終わらず、次の改善や別部署への展開へと続きやすい。比較の軸を整理すると、需要の種類ごとに求められる力が違うことが分かる。
| 需要の種類 | 主な内容 | 新卒が関われる可能性 |
|---|
| 基幹システムの更新 | 法改正対応・保守・刷新 | 検証・運用補助から関わりやすい |
| レガシー刷新 | 古い言語やシステムの移行 | 既存知識の理解と移行作業に関われる |
| DX・クラウド移行 | データ活用・新サービス開発 | 企画や設計の一部に触れる機会がある |
表のとおり、需要の種類によって新卒の経験の幅は変わる。志望企業がどの需要に強いかを知ると、入社後に身につく力の見当がつきやすくなる。
4-3.業界の重心が上流・DX領域へ移りつつある
SI業界では生成AIやツールの進化により、コーディングなどの下流作業から、顧客の課題を整理して解決策を提案する要件定義などの上流領域へと重心が移りつつある。
しかし、この変化は全企業で一律に起きているわけではない。下流の開発経験こそが将来の確かな土台になると考える企業もあり、最初から上流を任せるか、下流から段階的に経験を積ませるかなど、新卒の育成方針は企業ごとに大きく異なる。
どちらが良いかは本人のキャリア志向次第である。そのため、業界一括りの将来性で判断するのではなく、志望企業の実態を見極めることが重要だ。
OB訪問などで1年目と3年目の具体的な仕事内容や、上流・DX領域への関わり方を質問すれば、その企業がどこに重心を置き、若手にどんな経験を用意しているかを読み解くことができる。
5.SI業界のメーカー系・ユーザー系・独立系で異なる将来性
SIerと一括りにされがちだが、実態は企業のタイプによって大きく異なる。ここでは、メーカー系・ユーザー系・独立系の3タイプに分けて、それぞれの特徴と将来性を整理する。
自分が重視したい経験に近いタイプはどれかを考える材料にしてほしい。SIerのタイプ別の違いについては、次の4項目にまとめた。
- メーカー系SIerの特徴と今後
- ユーザー系SIerの特徴と今後
- 独立系SIerの特徴と今後
- タイプ別の比較表で違いを整理する
5-1.メーカー系SIerの特徴と今後
メーカー系SIerは、電機・通信機器などのメーカーを親に持つシステム会社を指す。親会社のハードウェアやグループの基盤システムを背景に、安定した受注と社内システムの深い知見が強みになるという判断軸で見ると分かりやすい。
グループ内の仕事は長期的な案件が多く、入社後に同じシステムへ長く関われる点が新卒にとっての安心材料になる。一方で、外部の新しい技術に触れる機会が限られる場合もあり、変化への対応は企業ごとの差が大きい。
確認方法としては、親会社以外の顧客を担当する割合や、クラウドやAIを扱う部署がどの程度あるかを説明会で聞くとよい。グループ外の顧客案件やクラウド関連の状況は、次のような点で確認できる。
入社前に確認したい項目
- グループ外の顧客案件の比率
- クラウドやAI関連の部署の有無
- 新人が最初に配属される事業領域
これらの答えから、安定性と技術の広がりのどちらを優先したいかが見えてくる。志望度を固める前に、自分の希望と照らし合わせてほしい。
5-2.ユーザー系SIerの特徴と今後
ユーザー系SIerは、銀行や商社など事業会社の情報システム部門を源流とする企業だ。もともとは親会社のシステムを守り、育てる役割が中心だった。
近年は親会社以外へのシステム提供、いわゆる外販を広げる動きが目立つ点が重要な変化といえる。
業務への理解が深いため、要件定義や業務改善といった上流工程に関わりやすいのが特徴だ。新卒が顧客と直接話す機会を得やすい点も、初期キャリアの経験として見逃せない。
ただし、親会社の意向に左右されやすく、事業環境の変化で仕事の量が大きく動く可能性もある。
5-3.独立系SIerの特徴と今後
独立系SIerは、特定の親会社を持たず、複数の企業から受注するシステム会社を指す。大手から中堅まで規模は幅広い。特定の業界や技術領域に強みを持つ企業が多く、その差別化の有無で将来性が分かれると捉えると理解しやすい。
得意分野が明確な企業は、専門性を積み上げやすい。反対に、何でも請け負う企業は価格競争に巻き込まれやすく、技術の陳腐化や人月単価の頭打ちが起きやすいという課題がある。
確認方法は、自社の主力分野と、その分野で今後も需要が続くかを調べることだ。OB訪問では、どの分野で案件を増やしているのかを聞くと実態がつかめる。
独立系SIerを比べるときの判断材料を、整理して示す。
独立系で見るべき判断材料
- 主力とする業界・技術領域
- 元請けとして受注している割合
- 専門分野での資格や実績の蓄積
これらを確認すれば、同じ独立系でも将来性に差がある理由が見えてくる。企業選びでは、規模よりも差別化の中身を重視したい。
5-4.タイプ別の比較表で違いを整理する
ここまでの3タイプを、新卒が判断しやすい軸で比較する。表は、就活中に企業の資料を見る際の確認ツールとして使ってほしい。各タイプの傾向はあくまで一般的な特徴であり、個別企業の実態は説明会や面談で確かめる必要がある。
| タイプ | 主な強み | 注意点 |
|---|
| メーカー系 | 親会社案件で安定しやすい | 外部技術に触れる機会が限られる場合がある |
| ユーザー系 | 上流工程や顧客接点を得やすい | 親会社の方針で仕事量が変わりやすい |
| 独立系 | 専門性を積み上げやすい | 差別化できないと価格競争に入りやすい |
表から分かるのは、どのタイプにも強みと注意点があるということだ。安定を重視するか、顧客接点や専門性を重視するかで、適した企業は変わる。
判断に迷う場合は、志望企業がどのタイプに当たるかをまず確認するとよい。その上で、配属方針や研修内容を聞き、自分が最初の3年で何を経験したいかと照らし合わせてほしい。
6.AI・内製化の波でSI業界の仕事と新卒の初期キャリアはどう変わる?
AIや内製化の波は、SIerの仕事内容と新卒が最初に任される業務の両方に影響し始めている。ただし、その影響は業務の種類によって大きく異なる。
ここでは、どの業務が変わりやすく、どの業務が残りやすいのかを整理する。AIや内製化の影響は、次の3つの切り口で整理する。
- AIの影響を受けやすい業務と受けにくい業務
- 内製化の進展がSIerの役割に与える影響
- 新人の経験機会が変わる可能性
6-1.AIの影響を受けやすい業務と受けにくい業務
SIerの業務は、大きく下流と上流に分けて考えると理解しやすい。下流とは、設計書をもとにプログラムを書くコーディングや、動作を確認するテストなどを指す。AIの影響を最も受けやすいのは、この下流の定型作業である。
理由は、ルールが明確で繰り返しが多い作業ほど、AIによる自動化が進みやすいからだ。コードの生成やテストケースの作成は、すでに支援ツールで一部が置き換わり始めている。
一方で、要件定義や顧客との折衝は、相手の事情を聞き出して判断する仕事であり、現時点で完全に置き換えるのは難しい。
例えば、同じSIerに入社しても、配属先が顧客の業務を聞き取る案件か、テスト工程中心の案件かで経験は変わる。
入社前に確認したいのは、新人が担当する工程が上流寄りか下流寄りかという点である。新人が担う業務の種類は、以下の観点から確かめておきたい。
入社前に確認したい業務の種類
- 新人が担当する工程は要件定義か、テストか
- 顧客とのヒアリングに同行する機会があるか
- 自動化ツールを業務に取り入れているか
この整理から分かるのは、AIの影響は業界全体の一括りではなく、業務ごとに差が出るということだ。志望企業の業務内容を確認すれば、将来どの経験が積めるかをある程度予測できる。
6-2.内製化の進展がSIerの役割に与える影響
内製化とは、ユーザー企業が自社でシステムの開発や保守を行える体制を整えることを指す。内製化が進むほど、SIerには全てを請け負う役割より、社内の体制づくりを支える役割が求められる。
背景には、DXを進める企業がシステムを自分たちの事業に合わせて改善したいという意図がある。そのため、SIerは開発そのものの受注だけでなく、企業の内製チームを育てる伴走型の支援に役割を広げている。
以下の表は、従来型の役割と支援型の役割を比べたものだ。
| 項目 | 従来型の役割 | 支援型の役割 |
|---|
| 主な業務 | システムの開発を丸ごと受注 | 内製体制の構築を支援 |
| 求められる力 | 作業の正確さ | 顧客の課題を言語化する力 |
| 新人の関わり方 | 作業の分担が中心 | 顧客と並走する場面が増える |
表から読み取れるのは、支援型の役割ほど顧客との接点が増えるという点である。新人にとっては、技術だけでなく課題を整理する経験を積める機会になりうる。志望企業が支援型の案件を扱っているかは、OB訪問で確認する価値がある。
6-3.新人の経験機会が変わる可能性
下流業務の自動化は、新人が最初に任される仕事の内容にも影響しうる。これまでSIerの新人は、コーディングやテストを通じて技術の基礎と業務の流れを学んできた。
ただし、これは断定できる話ではない。下積みの機会が減る一方で、早い段階から上流や顧客対応に関わる機会が増える企業もあると考えられる。
確認方法としては、配属後の最初の1年でどの工程を任されるのか、研修でどの技術を学べるのかを聞くことが有効である。説明会やOB訪問で、新人の仕事内容の具体例を質問すると、企業の育成方針が見えやすくなる。
新人の経験を引き出す質問の例を、次に挙げる。
新人の経験を確認する質問例
- 入社1年目に担当する工程は何か
- 研修で実際に手を動かす機会はどの程度あるか
- 顧客と直接話す場面はいつ頃から発生するか
ここまでの内容を踏まえると、AIや内製化の影響は業界全体で一律に現れるのではない。新卒が将来どの経験を積めるかは、志望企業の業務内容と育成方針を確認することで判断できる。
次のセクションでは、SIerとWeb系・事業会社で最初の3年に得られる経験がどう違うかを比べていく。
7.SI業界とWeb系・事業会社で最初の3年に得られる経験の違い
SIerに入るか、Web系や事業会社に入るかで、社会人最初の3年に得られる経験は大きく変わる。ここでは業界の将来性ではなく、新卒が最初の数年で何を身につけられるかという視点で両者を比べていく。
比較の軸は、顧客との接点、上流工程への関わり、技術習得の幅の3つである。つまり、この軸で見ると、同じ「IT業界」でも企業ごとに経験の質が違うことが分かる。
入社後3年間の経験の違いは、次の3つの視点から比べていく。
- SIerで得やすい経験と偏りやすい経験
- Web系・事業会社で得やすい経験
- 配属ガチャの影響をどう見るか
7-1.SIerで得やすい経験と偏りやすい経験
SIerの新卒が得やすいのは、大規模開発に参加して業務知識と顧客折衝の経験を積めることである。金融・公共・製造などの基幹システムに関わるため、業務の流れや社内用語を実務で覚えられる。
一方で、配属先によって経験が偏りやすい点も見落とせない。テストや保守運用だけを担当する配属になると、設計や上流の経験を積むまでに時間がかかる場合がある。
配属後に確認したい項目
- 上流工程(要件定義・基本設計)に関われるか
- 顧客との打ち合わせに新人が同席する機会があるか
- テスト・運用中心の期間がどの程度続くか
これらの項目は、入社前の説明会やOB訪問で聞けば判断材料になる。大規模開発の強みを得られるかどうかは、配属の実態次第である。
7-2.Web系・事業会社で得やすい経験
Web系や事業会社のSEは、自社サービスの開発に早い段階から関われる点が特徴である。企画から実装、改善までを一つのチームで回すため、ユーザーの反応を直接確認しながら仕事を進められる。
また、技術選定の裁量が大きいことも、新人のうちから技術を選んで試す機会があるという意味で特徴的だ。どちらが優れているというより、何を重視するかで向き不向きが分かれる。
| 比較項目 | SIer | Web系・事業会社 |
|---|
| 顧客との接点 | 発注元との折衝が中心 | ユーザーの反応を直接見られる |
| 上流工程 | 配属次第で関わり方が変わる | 企画段階から関われる場合が多い |
| 技術の幅 | 業務システム寄りになりやすい | 新しい技術を選んで試しやすい |
表の違いは、自分がどの経験を重視するかを考える材料になる。顧客の業務を深く理解したいのか、自分でプロダクトを作りたいのかを整理すると、選ぶべき方向が見えてくる。
7-3.配属ガチャの影響をどう見るか
新卒にとって、業界の将来性より配属や育成方針の影響の方が大きいと考えられる。同じSIerに入っても、配属先によって最初の3年で得られる経験は大きく異なるからだ。
特に、研修後にどの案件に入るかを事前に説明してくれるかは重要な確認点である。配属の方針が曖昧な企業では、経験の偏りが生じやすい。
配属ガチャの影響は、企業の規模だけでは判断できない。大手でも若手が下流作業に偏る案件があり、中堅企業でも上流を任せる育成方針を持つ場合がある。
OB訪問では、「入社後の最初の配属はどう決まったか」「3年目までに上流工程に関わった人はどの程度いるか」を聞くとよい。回答から、その企業で経験を積める見込みを読み取れる。
8.SI業界の企業選びで見る将来性チェックリストとOB訪問の質問例
SI業界の将来性は、業界全体の評判だけでは判断しきれない。同じSIerでも、配属の仕方や研修の中身、商流のどの位置にいるかによって、数年後に身につく力は大きく変わる。
そのため、ここでは入社前に確認できる判断軸を整理し、OB訪問や説明会で実際に聞くべき質問を示す。企業選びで使える確認方法は、次の3項目で整理した。
- 入社前に確認できる将来性チェックリスト
- OB訪問・説明会で聞くべき質問例
- 回答の読み解き方と注意すべきサイン
8-1.入社前に確認できる将来性チェックリスト
将来性を見極める軸は、配属方針・研修制度・上流工程比率・技術投資・商流の位置の5点である。この5点が入社後の経験を左右するためだ。業界の評判より、この5点の方が新卒の初期キャリアに直接効く。
理由は単純だ。新卒の最初の3年で何を任されるかは、企業ごとの育成方針と案件構造で決まる。
下流のテストや保守ばかりを担当すると、技術の幅が広がりにくい一方、要件定義や顧客折衝に近い仕事に関われば、市場価値の土台を作りやすい。
確認方法としては、企業の採用ページや説明会で次の表の項目を一つずつ埋めてみるとよい。回答が具体的かどうかも判断材料になる。
| 確認項目 | 良い兆候の例 | 注意したい兆候の例 |
|---|
| 配属方針 | 希望や適性を聞いたうえで決める | 配属先は当日まで分からないとだけ答える |
|---|
| 研修制度 | 座学と実案件の両方がある | 研修は数日で終わり、すぐ現場に出る |
|---|
| 上流工程比率 | 若手にも要件定義の補助を任せる | 若手は長期間テストのみを担当する |
|---|
| 技術投資 | クラウドやDXの社内教育がある | 使用技術の更新予定を説明できない |
|---|
| 商流の位置 | 元請けや上位の顧客と直接関わる | 多重下請けの末端で仕様を受け取るだけ |
|---|
表の項目は、どれか一つだけで判断しない点が重要だ。複数の項目で良い兆候が重なる企業は、業界全体が縮小しても生き残る力を持ちやすい。
逆に、注意の兆候が複数並ぶ場合は、その企業の将来性を慎重に見る必要がある。
8-2.OB訪問・説明会で聞くべき質問例
チェックリストの項目は、OB訪問や説明会で質問して初めて確かめられる。ここでは、そのまま使える質問例を示す。質問は抽象的な「将来性はありますか」ではなく、具体的な経験を聞く形にするのがコツである。
- Q1:入社3年目までに、どの工程をどの程度任されましたか
- Q2:研修後の配属はどのように決まりますか
- Q3:最近、社内でどんな技術の学習や投資を進めていますか
OB訪問の前に整えておきたい準備を、先に押さえておこう。質問の目的は、正解を引き出すことではない。答えの具体性を比べることで、企業ごとの実態の差が見えてくる。複数社で同じ質問をすると、判断の精度が一段上がる。
8-3.回答の読み解き方と注意すべきサイン
質問への回答は、内容そのものより、どこまで具体的に語れるかで読み解く。曖昧な回答が続く場合は、育成や案件の実態が見えにくいサインとして扱うべきだ。
例えば「配属は会社の判断次第です」とだけ返された場合、配属の仕組みを説明できていない可能性がある。ここで重要なのは、曖昧さが一度きりか、複数の質問で繰り返されるかを確認することである。
一度の回答で判断せず、同じ傾向が続くかを見ると誤差を減らせる。回答の中で注意したい兆候を、具体例とともに示す。
- 上流工程の具体例を挙げられない
- 研修内容を聞くと話題を変えられる
- 技術の話が「当社は安定している」だけで終わる
こうした回答が多い企業は、入社後のキャリアを自分で設計しにくいかもしれない。逆に、具体的な案件名や育成の流れを語れる企業は、自分の志向と照らし合わせて検討しやすい。
比較軸が明確になったら、志望企業のタイプや商流の位置を調べ直し、次の企業選びに進むとよい。
9.SI業界を志望する就活生が後悔しないための注意点
SI業界に進むかどうかを迷う就活生は多い。ネットの評判や企業の知名度に振り回されると、入社後に『思っていたのと違う』と感じやすくなる。
ここでは、後悔を減らすために避けたい考え方と、確認しておくべき判断材料を整理する。
大切なのは、業界全体の評判ではなく、自分が何を経験したいかと企業の育成方針が合うかどうかである。後悔を避けるための注意点は、以下の3つに絞って紹介する。
- 「大手だから安泰」という思い込みのリスク
- ネガティブ情報を鵜呑みにしすぎるリスク
- 内定後に迷ったときの整理の仕方
9-1.「大手だから安泰」という思い込みのリスク
大手SIerだから安泰だと決めつけるのは、就活生が陥りやすい危険な判断である。
大手であっても、事業の中心がどの技術領域にあるかによって、数年後に求められる力は大きく変わる。企業の規模は知名度や待遇の目安にはなるが、変化への対応力までは示さない。
例えば、既存システムの保守が中心の企業と、クラウドやDX案件に取り組む企業では、新人が最初に任される仕事の幅が違う。
入社後の経験を想像するためには、売上や社員数よりも、どの領域に投資しているかを確認する必要がある。企業規模以外に見ておきたい点は、以下のとおりである。
規模以外に確認したい項目
- DXやクラウド関連の案件比率
- 研修で上流工程や顧客折衝に触れられるか
- 社内で新しい技術の学習支援があるか
これらの項目を見ると、同じ大手でも育成の方向性が異なることが分かる。規模の大きさだけで判断すると、将来の選択肢を狭める可能性がある。
9-2.ネガティブ情報を鵜呑みにしすぎるリスク
ネット上の『SIerはやめとけ』という声は、発信者の立場を踏まえて読む必要がある。
口コミや体験談の多くは、転職を考えている社会人や、激務に疲れた在職者の視点から書かれている。新卒が入社直後に受ける研修や、最初の配属の実態とは前提が違う場合が多い。
例えば、ある人が多重下請けの現場で長時間労働を経験したとしても、それは特定の商流や案件に限られた話かもしれない。同じ会社でも、配属先や時期によって環境は大きく変わる。
具体例:口コミを読むときの見方
口コミを読むときは、投稿者の立場と時期を確認する。在職中か転職者か、何年目の経験かを見れば、自分に当てはまる部分を判断しやすくなる。
情報を一つの意見として受け取り、複数の情報源と比べることが、偏った判断を防ぐ第一歩となる。
9-3.内定後に迷ったときの整理の仕方
内定が出て迷ったときは、自分の優先順位と企業の実態を照らし合わせて整理することが有効である。
感覚だけで決めると、知名度や周囲の意見に流されやすい。先に自分が大事にしたい経験を言葉にしておくと、比較の軸がぶれにくくなる。
まずは、成長したい分野、働きたい顧客の種類、年収や勤務地などの条件を優先順位順に並べる。次に、各企業について育成方針や配属の考え方を確認し、優先順位と照らし合わせる。志望企業を整理する手順を、順番に並べておく。
整理の手順
- 自分が最初の3年で得たい経験を3つ書き出す
- 志望企業ごとに研修・配属・上流工程の機会を調べる
- OB訪問で、入社後の経験を具体的に質問する
この手順を踏めば、企業の評判ではなく、自分にとって納得できる選択肢かどうかで判断できる。迷いが残る場合は、OB訪問や説明会で確認項目を一つずつ検証すると、判断の精度が上がる。
10.SI業界の今後を踏まえて、今日からできる次の一歩
業界の将来性を考えても、不安が消えないのは自然な反応だ。大切なのは、業界全体の評判ではなく、志望企業ごとの実態を自分の目で確かめることである。
ここでは、調べる、整理する、検証するの3ステップに分けて、今日から動ける行動を示す。次の一歩として取り組む内容は、3つのステップに分けて示す。
- 志望企業のタイプと商流の位置を調べる
- 確認したい点をリストにまとめる
- OB訪問・説明会で検証し、志望動機に反映する
10-1.志望企業のタイプと商流の位置を調べる
最初にやるべきことは、志望企業がどのタイプのSIerで、商流のどこにいるかを把握することだ。なお、商流とは、発注元から開発現場までの仕事の流れを指す。
企業サイトの事業紹介や実績ページ、上場企業ならIR情報(投資家向けの経営資料)が手がかりになる。次の項目を順に確認してほしい。
企業サイトとIR情報で確認する項目
- 親会社の有無(メーカー系・ユーザー系・独立系のどれか)
- 売上に占める主要顧客の割合
- 元請け案件と二次請け以下の案件の比率
- DX・クラウド・AI関連の事業や投資の記述
これらを見れば、会社が何で稼ぎ、どこに力を入れているかが見えてくる。まずは志望企業を3社ほど選び、同じ項目で並べて比べてみよう。
10-2.確認したい点をリストにまとめる
調べた情報は、頭の中に置かず自分専用のチェックリストにして残すと判断しやすくなる。リストがあれば、企業ごとの違いを同じ物差しで比べられる。
配属方針、研修制度、上流工程の比率、技術投資、商流の位置の5項目を土台にするとよい。そのうえで、自分が3年目までに経験したいことに合わせて項目に優先順位をつけるのがカスタマイズのコツだ。
具体例:軸の違いによるリストの作り方
顧客接点を重視する学生は、「新人が顧客打ち合わせに同席できるか」「上流工程の比率はどの程度か」を最上位に置く。技術習得を重視する学生は、「研修の内容と期間」「資格取得の支援」「新技術への投資額」を優先する。
ここで注意したいのは、答えが見つからない項目も記録することだ。分からない点こそ、次のOB訪問や説明会で聞くべき質問になる。
10-3.OB訪問・説明会で検証し、志望動機に反映する
リストができたら、OB訪問や説明会で実際の声と照らし合わせる段階に進む。また、OB訪問や説明会では、公開情報だけでは分からない現場の実態も確かめられる。
聞き方のコツは、制度の有無だけでなく、実際の運用を尋ねることだ。「制度がある」と「新人が実際に使えている」は別の話であり、後者を確認すると入社後のイメージが具体的になる。
質問例は次のとおりだ。回答を読み解く視点も添えたので、自分の言葉に直して使ってほしい。
OB訪問で使える質問例と読み解き方
- 「入社1〜3年目の仕事内容を教えてください」→工程や顧客接点の具体例が出れば育成設計が明確
- 「配属はどう決まりますか」→希望の反映度や配属後の異動の実例を確認する
- 「最近、会社が力を入れている技術や案件は何ですか」→変化への対応姿勢が見える
得た情報は、そのままES・面接の志望動機に結びつけられる。「御社は元請け案件が多く、若手から顧客と関われると知り、上流工程を早く経験したいと考えた」のように、調べた事実と自分の軸を一文でつなぐのである。
11.IT業界の就活ならユニゾンキャリア
IT業界の就活で内定を勝ち取りたいなら、就活エージェントであるユニゾンキャリアを利用してほしい。
IT業界専門だからこそ、各企業の労働環境や入社後のキャリアパスまで詳しく把握している。一人ひとりの希望に寄り添い、文系未経験からでも活躍できる優良IT企業を厳選して紹介する。
11-1.IT業界の就活成功インタビュー①
成功者インタビューより
ぶっちゃけユニゾンキャリア以外も就活エージェントは利用していましたか?
はい、使ってました(笑)
ただ、以前使っていた就活エージェントさんは、相談させてもらっている途中で音信不通になって、全然連絡が取れなくなったんです。
正直、就活エージェントの印象はかなり悪くなっていたんですけど、どうすれば面接に通るのか分からなかったので、ユニゾンキャリアさんを利用することにしました。
利用してみると、担当キャリアアドバイザーの橋本さんはすごく親身に相談に乗ってくれて。
「めちゃめちゃ良い人だな。この人だったら頼ってもいいのかな」と思うようになりました!
ユニゾンキャリアではどんな面接対策を行いましたか?
面接で聞かれやすい質問をピックアップしてもらって、自分で考えた回答を添削してもらいました。
それと、面接がある日は毎回橋本さんに頼んで、面接の前に面接練習をしてもらっていました。
一次面接になかなか通らない状況だったので、何度も面接練習をしてくれたのはありがたかったです!
面接対策は本番で役に立ちましたか?
はい、役立ちました!
面接本番でも橋本さんにピックアップしてもらった質問ばかり聞かれて、あらかじめ考えた回答を話すだけで良かったんです。
例えば、これまで困っていた「なんでIT業界を目指すようになったんですか?」という質問にもしっかり答えられました。
振り返ってみて、本当に的確な面接対策をしてもらえたんだなあと思いましたね。
11-2.IT業界の就活成功インタビュー②
成功者インタビューより
ユニゾンキャリアではどんな選考対策を行いましたか?
主に面接対策ですね。
私は面接に自信がなかったので、面接で聞かれる質問への回答をまとめて、担当キャリアアドバイザーの橋本さんに添削してもらいました。
実は初めての面接で想定外の質問をされて頭の中が真っ白になったんです…。
橋本さんから面接で聞かれる質問を教えてもらってからは、面接の準備ができたのでどんな質問にでも答えられるようになりました!
何社に応募して何社から内定をもらいましたか?
3社に応募して、1社から内定をもらいました。
第一志望の企業から内定をもらった時点で、1社の選考を辞退したので、2社中1社から内定をもらえました!
橋本さんが企業ごとにの面接対策を教えてくれたおかげです。
ユニゾンキャリアを利用してどう思いましたか?
最初から最後まで橋本さんに手厚くサポートいただいて感謝の気持ちでいっぱいです…!
IT業界について知れたおかげで、面接で自信を持って話せました。
橋本さんはいつも親身になって相談にのってくれて、背中を押してくれる存在でしたね。
すごく心強かったですし、就活生のことを本気で考えてくれてると思いました。
当社は就活のサポートだけでなく、入社後にどのようにキャリアを積んでいけばいいかまでアドバイスできるのが強みだ。
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