
最終更新日:2025.06.11
セキュリティエンジニアに必要なスキルは?未経験から市場価値を高めるロードマップを解説

IT業界を本音で語る「ユニゾンキャリア編集部」の真心です。
本記事のトピックスはこちら!
- セキュリティエンジニアに必要なスキルって?
- セキュリティエンジニアになるのに必要なスキルが知りたい!
- セキュリティエンジニアになるロードマップは?
セキュリティエンジニアはセカンドキャリアとしておすすめの職業です。実際に、多くの方はインフラ領域に携わってからセキュリティを担当するようになることが多いです。
また、セキュアコーディングなどの開発領域においてもセキュリティは重要であり、システム全体の理解が必要な職業でもあります。そのため求められるスキル範囲もかなり幅広いものとなります。
ある意味では最も闇深い…。いえ、最も興味深い領域ではないでしょうか?
記事の要約
本記事では、セキュリティエンジニアに興味がある方を対象に、セキュリティエンジニアになるのに必要なスキルや魅力、資格の勉強方法までロードマップ形式で体系的に解説します。

1.セキュリティエンジニアに必要なスキル
はじめにセキュリティエンジニアのスキルは膨大で、すべてを解説するのが難しいです。また、人によってもこれが必要あれが必要というのは必ず出てきます。
この前提のもと、未経験からセキュリティエンジニアを目指す場合に必要になるスキルから話を展開していきます。
1-1.セキュリティエンジニアになるためのスキル
セキュリティエンジニアになるために必要なスキルは、以下の4つが挙げられます。
- ネットワーク関連の知識・スキル
- サーバー関連の知識・スキル
- リスクマネジメント知識・スキル
- 情報セキュリティ知識・スキル
● ネットワーク関連の知識・スキル
セキュリティエンジニアにとって、ネットワークの知識は全てのセキュリティ対策の根幹をなす、最も重要なスキルセットの一つです。
外部からのサイバー攻撃の多くはネットワークを経由して行われるため、通信の仕組みを深く理解していなければ、脅威を検知し、防御することはできません。
具体的には、インターネット通信の基本であるTCP/IPプロトコル群(IPアドレス、サブネットマスク、ポート番号、TCP/UDPなど)に関する深い知識が不可欠です。
さらに、不正な通信を検知・遮断するIDS(不正侵入検知システム)やIPS(不正侵入防止システム)の構築・運用、リモートアクセスや拠点間通信を安全に保つためのVPN(IPsec-VPN、SSL-VPNなど)の設定と管理、ファイアウォールやプロキシサーバーのログを解析して不正の兆候を早期に発見する能力も求められます。
これらの知識を駆使し、堅牢なネットワーク境界を設計・維持することが、セキュリティエンジニアの第一歩です。
そのため、基本的にはいきなりセキュリティエンジニアを目指すのではなく、ネットワーク関連の知識が身に付くインフラエンジニアからキャリアをスタートさせます。
ネットワーク関連のスキルについては以下の記事が参考になります。
● サーバー関連の知識・スキル
システムやサービスの基盤となるサーバーのセキュリティを確保することも、セキュリティエンジニアの重要な責務です。
サーバー自体に脆弱性があれば、ネットワークセキュリティが強固であっても、そこを突かれて侵入を許してしまいます。そのため、Linux(RHEL、CentOS、Ubuntu等)やWindows Serverといった主要なサーバーOSに関する深い知識が必須です。
具体的には、OSやミドルウェア(Webサーバー、DBサーバー等)の脆弱性情報を常に監視し、セキュリティパッチを迅速に適用する運用能力、「最小権限の原則」に基づいた適切なアクセス権限の設定や管理が求められます。
また、DDoS攻撃やランサムウェア攻撃を受けた際にサービス停止を回避し、迅速に復旧するためのサーバーリソースの監視、バックアップとリストア計画の策定も重要です。
近年ではAWS、Azure、GCPといったクラウド環境が主流であり、各クラウドプラットフォームが提供するセキュリティ機能(IAM、Security Groupsなど)を熟知していることも不可欠なスキルとなっています。
サーバー関連のスキルについては以下の記事が参考になります。
● 情報セキュリティ知識・スキル
情報セキュリティに関する専門知識は、セキュリティエンジニアという職種そのものを定義する中核的なスキルです。
日々巧妙化・高度化するサイバー攻撃に対抗するためには、個別の技術だけでなく、体系的かつ最新のセキュリティ知識が欠かせません。
具体的には、マルウェア対策、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といったWebアプリケーションの脆弱性を防ぐWAF(Web Application Firewall)の運用、パスワード漏洩対策として有効な多要素認証(MFA)の実装などが挙げられます。
さらに近年では、「社内ネットワークは安全」という従来の境界型防御の考え方を覆す「ゼロトラスト」の概念が重要視されています。全ての通信を信頼せず、アクセスのたびに検証するという考え方です。
攻撃手法や脆弱性の情報は常に更新されるため、国内外のセキュリティ機関(NIST、IPAなど)やベンダーからの情報を能動的に収集し、知識をアップデートし続ける学習意欲が極めて重要になります。
● リスクマネジメント知識・スキル
サイバー攻撃を100%防ぐことは不可能であるという前提に立ち、万が一セキュリティインシデントが発生した際に、組織の損害を最小限に抑えるためのリスクマネジメント能力も、セキュリティエンジニアには不可欠です。
これは技術的な対策だけでなく、組織全体の事業継続性を考慮した戦略的な視点が求められるスキルです。
具体的には、まずシステムや情報資産に潜むリスクを洗い出して特定し、その発生可能性と影響度を分析・評価します。その上で、リスクのレベルに応じて「低減」「保有」「回避」「移転」といった対策を決定します。
インシデント発生時の対応手順を定めたCSIRT(シーサート)の構築・運用や、事業継続計画(BCP)を策定し、定期的なバックアップ取得やシステムの冗長化、復旧訓練を実施することも重要です。
こうしたプロアクティブな活動を通じて、インシデント発生時にも冷静かつ迅速に対応できる体制を築くことが、セキュリティエンジニアとしての価値になります。
これらのスキルセットを磨くためには、まずはインフラエンジニアとしてスタートして、「ネットワーク案件」や「サーバー案件」などの経験を積んでいくキャリアが最も確実性が高く成長性も高いです。
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1-2.セキュリティエンジニアの市場価値を上げるスキル
セキュリティエンジニア経験者に必要なスキルは以下の3点です。
セキュリティエンジニア経験者はこれらの知識を身につけることで、未経験者との差を広げられます。
- クラウド関連の知識・スキル
- プログラミング言語の知識・スキル
- 法律と経営に関する知識
● クラウド関連の知識・スキル
現代のビジネス環境において、クラウドスキルはセキュリティエンジニアの市場価値を飛躍的に向上させる要素です。
多くの企業がシステムの俊敏性、拡張性、コスト効率を求めて、従来のオンプレミス環境からAWS、Azure、GCPといったパブリッククラウドへ移行しています。
具体的には、クラウドの「責任共有モデル」を深く理解し、クラウド事業者が責任を持つ領域と、利用企業が責任を持つ領域を明確に区別した上でセキュリティを設計する能力が求められます。
さらに、IAMによる厳格なID・アクセス管理、VPCやSecurity Group/NSGによるネットワーク制御、CSPM(Cloud Security Posture Management)ツールを用いた設定ミスの継続的な監視・監査、そしてDevSecOpsの考え方に基づきCI/CDパイプラインにセキュリティを組み込むスキルなどが高く評価されます。
このトレンドに伴い、クラウド特有のセキュリティリスクを理解し、対策を講じられるエンジニアの需要が急増しています。
オンプレミスの知識に加え、クラウドネイティブなセキュリティアーキテクチャを設計・実装できる能力は、現代のITインフラを守る上で不可欠です。
クラウド関連のスキルについては以下の記事が参考になります。
● プログラミング言語の知識・スキル
プログラミングスキルを持つセキュリティエンジニアは、インフラの防御に留まらず、脆弱性が生まれる根本原因、すなわちソースコードのレベルまで踏み込んで対策を講じることができます。
プログラミングスキルは、他のエンジニアとの差別化を図り、市場価値を大きく高めることが可能です。
例えば、JavaやPHP、Pythonなどで書かれたWebアプリケーションのソースコードを読み解き、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といった脆弱性を静的解析(SAST)で見つけ出し、具体的な修正方法を開発者に提案できます。
これは「セキュアプログラミング」の実践であり、開発の上流工程からセキュリティを確保する「シフトレフト」の実現に直結します。
さらに、PythonやGo言語を用いて、日々のログ分析、脅威ハンティング、脆弱性スキャンといった定型業務を自動化するツールを自作できる能力も極めて重要です。
これにより、運用業務を大幅に効率化し、より高度な分析や対策に時間を割くことが可能となり、組織のセキュリティレベルを能動的に引き上げることができます。
プログラミング関連のスキルについては以下の記事が参考になります。
● 法律と経営に関する知識
技術的な専門性に加え、法律と経営の視点を併せ持つセキュリティエンジニアは、組織の根幹を守る戦略的パートナーとして極めて高い評価を得られます。
セキュリティ対策は、技術的な正しさだけでなく、国内外の法規制を遵守して行わなければなりません。
個人情報保護法や不正アクセス禁止法はもちろん、グローバルに事業を展開する企業であればGDPR(EU一般データ保護規則)など、関連法規への深い理解が不可欠です。
これらの知識は、法務部門と連携し、コンプライアンスを確保した上でのセキュリティ施策立案を可能にします。また、経営視点を持つことで、セキュリティ対策を単なる技術コストではなく、事業継続やブランドイメージ維持のための「戦略的投資」として経営層に説明できます。
インシデントが発生時の影響を金銭的損失や機会損失などのビジネス言語で定量的に示し、適切な予算や人員の確保を働きかける能力は、CISO(最高情報セキュリティ責任者)のような経営幹部に近い立場で活躍するために必須のスキルです。
「セキュリティエンジニアを目指している」「監視業務ばかりさせられている」といった方は、キャリアプランが非常に重要になります。
貴重な時間や労力を無駄にしないため、ぜひ、一度ご相談いただけると嬉しいです。
2.セキュリティエンジニアになるためのロードマップ
セキュリティエンジニアになるには、以下の手順をおすすめします。
- ITインフラの資格を取得する
- インフラエンジニアの実務経験を3年積む
- セキュリティ資格を取得する
- セキュリティエンジニアにキャリアチェンジ
2-1.ITインフラの資格を取得する
セキュリティエンジニアを目指す最初のステップとして、ITインフラの基礎知識を体系的に学び、客観的に証明する資格を取得することが極めて重要です。
なぜなら、全てのセキュリティ技術は、ネットワークやサーバーといったITインフラという土台の上に成り立っているからです。
この土台がなければ、どんな高度なセキュリティ対策も机上の空論になってしまいます。
未経験から学習を始める場合、ネットワーク分野ではCisco社の「CCNA」が最適です。ルーティングやスイッチング、アクセス制御リスト(ACL)といったネットワーク通信の根幹をなす技術を学べ、実践的な知識が身につきます。
サーバー分野では、多くのシステムで採用されているLinuxの知識を証明する「LPIC-1」や「LinuCレベル1」がおすすめです。
これらの資格取得を通じて、IT業界の共通言語を習得し、セキュリティ専門家としてのキャリアを歩み始めるための強固な基礎を築くことができます。
2-2.インフラエンジニアの実務経験を3年積む
資格で得た知識を本物のスキルへと昇華させるために、インフラエンジニアとして最低でも3年程度の実務経験は欲しいところです。もっと言えば、上流工程での経験が3年あると激アツです。
セキュリティという専門性を上乗せするための、最も重要な土台作りのフェーズです。
実際の現場では、24時間365日稼働するシステムの監視・運用を通じて、平常時と異常時の違いを肌で感じ取り、インシデントの兆候を早期に発見する「勘所」が養われます。
また、予期せぬシステム障害が発生した際のトラブルシューティング経験は、原因を切り分け、特定し、解決へと導く論理的思考力を鍛え、これはセキュリティインシデントの調査・対応にもそのまま応用できます。
机上で学ぶ知識だけでは決して得られない、生きたシステムの挙動や現場特有の課題解決のノウハウは、後にセキュリティ設計を行う際に、現実的で効果的な対策を立案する上で絶大な力となります。
まれに未経験からでもなれるSOC(セキュリティ・オペレーション・センター)の監視業務などもありますが、結局のところずっと監視作業になるため、インフラエンジニアとして働いたほうが多くの経験が身に付きます。
2-3.セキュリティ資格を取得する
インフラエンジニアとしての実務経験で得た土台の上に、専門知識を体系的に積み上げ、証明するためにセキュリティ関連資格の取得を目指します。
自身のキャリアの方向性を「セキュリティ」へと明確に定め、転職市場において意欲と能力を客観的に示すために不可欠です。
まず、国際的に広く認知されている「CompTIA Security+」は、特定の製品に偏らない網羅的な基礎知識を証明するのに最適で、キャリアチェンジの第一歩として有効です。
より高度な専門性を目指すなら、国内で高い信頼性を持つ国家資格「情報処理安全確保支援士」や、セキュリティ分野の国際的な最高峰資格である「CISSP」が目標となります。
セキュリティ資格は、技術だけでなく、リスクマネジメントや関連法規といった、より上位の概念までカバーしており、保有していることで即戦力としての評価に繋がります。
インフラの実務経験があるからこそ、資格で学ぶ理論が現実のシステムと結びつき、深い理解を得ることができるのです。
2-4.セキュリティエンジニアにキャリアチェンジ
インフラ経験とセキュリティ資格という二つの武器を携え、いよいよセキュリティエンジニアへのキャリアチェンジを実現させる転職活動のフェーズです。
最も重要なのはこれまでの経験を効果的にアピールすることです。
職務経歴書(スキルシート)には、単にサーバーやネットワークの運用経験を記すだけでなく、「ファイアウォールのログ監視から不正アクセスの兆候を発見した」「脆弱性情報に基づきサーバーパッチの適用計画を主導した」など、インフラ業務の中でいかにセキュリティを意識し、具体的なアクションを起こしてきたかを明記します。
最初はセキュリティ監視(SOC)や運用・保守といった業務からスタートすることが多いですが、その先のキャリアパス(例:脆弱性診断、設計・構築、コンサルティング)が描けるか、学習機会が豊富かといった視点で企業を選ぶことが大切です。
インフラとセキュリティの両方を理解している人材は非常に価値が高く、強みを的確に伝えることが、希望するキャリアと待遇を勝ち取るための重要な戦略となります。
3.セキュリティエンジニアにおすすめの資格の順番(セキュリティ関連資格)
セキュリティエンジニアに必要な資格は、以下の順番で取得することがおすすめです。
- CCNA
- LinuC レベル1 / LPIC-1
- CompTIA Security+
- 情報処理安全確保支援士 (SC)
- AWS / Azure 関連資格 (中級 → セキュリティ専門)
- CISSP (マネジメント・管理者向け)
- GIAC / OSCP (技術スペシャリスト向け)
3-1.CCNA:ネットワーク基礎と通信制御の原理
セキュリティ対策の全ての土台は、通信が行われるネットワークの理解から始まります。
CCNAの学習を通じて、通信の出発点と目的地を示すIPアドレスやポート番号、部署や役割に応じてネットワークを論理的に分割するVLAN、最も基本的なセキュリティ機能であるアクセス制御リスト(ACL)の仕組みを深く学べます。
「どの通信を許可し、どの通信を拒否するか」というファイアウォールの原理原則を、機器の設定を通して実践的に理解することが可能です。
サイバー攻撃の多くはネットワークを経由するため、通信ルールを制御する知識がなければ、脅威の侵入経路の特定や防御は困難です。
まずは「守るべきシステムの通り道」であるネットワークの構造と制御方法を固めることが、あらゆるセキュリティキャリアの強固な基盤となります。
3-2.LinuC レベル1 / LPIC-1:サーバーOSと最小権限の原則
ネットワークという「通り道」を把握したら、次は攻撃の最終目的地となることが多い「サーバー」の知識が重要です。
現代のシステムの多くはLinuxサーバー上で稼働しており、OSのセキュリティ設定を学ぶことは極めて重要です。
LinuC/LPICの学習では、絶大な権限を持つ管理者(root)と制限された一般ユーザーの権限の違い、そしてファイルやディレクトリに対する読み書き・実行権限(パーミッション)を厳密に設定する手法を学びます。
ユーザーやプログラムには必要最小限の権限しか与えないというセキュリティの重要原則「最小権限の原則」を実践する上で不可欠な知識です。
意図しない設定変更や不正なプログラム実行を防ぐ基礎を固め、インフラを層で守る「多層防御」の考え方を築きます。
3-3.CompTIA Security+:体系的なセキュリティ共通言語の習得
インフラの基礎知識を、本格的なセキュリティ専門知識へと繋ぎ合わせる「橋渡し」の役割を果たすのが、国際認定資格の「CompTIA Security+」です。
CompTIA Security+は、特定の製品やベンダーに依存しない中立的な立場で、セキュリティの幅広い概念を網羅的に学習できる点が最大の特徴です。
マルウェアの分類や攻撃手法、通信を守る暗号化技術の基本、適切な人やプログラムにだけアクセスを許可するID・アクセス管理、システムの弱点を見つける脆弱性評価、脅威の重大性を判断するリスクマネジメントといった、専門家としての共通言語と基礎知識を体系的に習得します。
断片的な知識が整理され、現実のシステムにセキュリティ理論をどう適用すべきかを深く理解できるようになります。
インフラ関係の知識を身につけたバラバラなセキュリティの内容を整理するのにもってこいな資格となっています。
3-4.情報処理安全確保支援士 (SC):日本国内の法規と組織的対策
グローバルなセキュリティ基礎知識を、日本のビジネス環境に最適化させる上で極めて重要な国家資格です。
情報処理安全確保支援士は技術的な対策だけでなく、個人情報保護法やサイバーセキュリティ経営ガイドラインといった国内法規・指針の遵守、組織全体の情報セキュリティポリシー策定・運用、そしてインシデント発生時の経営層への報告や監査対応といった、マネジメントとコンプライアンスの側面まで深く問われます。
単なる技術者という立場を超え、組織の事業継続や社会的信頼を守るという、より高い視点からセキュリティを実践する能力が養われます。
日本企業で活躍するセキュリティエンジニアとして、技術と法務・組織論を繋ぐための重要視される資格です。
3-5.AWS / Azure 関連資格:クラウド環境特有のセキュリティへの応用
従来のオンプレミス環境で培ったセキュリティ知識を、現代の主流であるクラウド環境に応用させる資格です。
物理的なサーバーやネットワーク機器が存在しないクラウドでは、セキュリティの考え方を根本からアップデートする必要があります。
クラウド事業者と利用者の責任範囲を定めた「責任共有モデル」を理解し、IAMによる厳格なIDベースのアクセス制御、仮想ファイアウォールであるSecurity Group/NSGの設定といった、クラウド独自の概念を習得します。
AWS SAAやAzure AZ-104といった中級資格でまずクラウドインフラの仕組みを学び、その上でセキュリティ専門資格に進むことで、クラウド特有の脅威や設定ミスからシステムを保護する、市場価値の高い専門スキルが身につきます。
3-6.CISSP (マネジメント・管理者向け):経営視点のセキュリティ戦略とガバナンス
技術的な専門性を高めたエンジニアが、キャリアの幅を広げ組織のリーダーを目指すための国際的な最上位資格です。
CISSPは、現場の技術的な詳細よりも、組織全体のセキュリティを統括する「管理者」や「責任者」としての知識を証明します。
学習範囲は、セキュリティガバナンスの確立、リスク評価に基づく合理的なセキュリティ投資判断、事業継続計画(BCP)や災害復旧計画(DRP)の策定、法務・コンプライアンス対応といった、経営層に近い視点での戦略立案能力が問われます。
技術的なバックグラウンドを持つ人材が学ぶことで、より現実的で効果的なセキュリティマネジメントを実現し、技術と経営を繋ぐ重要な役割を担うことができます。
3-7. GIAC / OSCP (技術スペシャリスト向け):攻撃者の視点を学ぶ実践的スキル
マネジメントとは異なるもう一つのキャリアの頂点が、技術を極める「スペシャリスト」への道です。
GIACやOSCPは、サイバー攻撃者の視点や手法を深く学び、極めて実践的な攻撃・防御能力を証明する資格です。
これまでの防御一辺倒の知識に加え、実際にシステムへの侵入を試みるペネトレーションテストや、悪意のあるプログラムを解析するマルウェアリバースエンジニアリングといった、高度なハンズオンスキルを習得します。
「最高の防御は最高の攻撃を知ることから始まる」という言葉の通り、攻撃者の思考を理解することで、机上の理論では見抜けないシステムの弱点を発見し、より堅牢で現実的な防御策を構築できるようになります。
4.セキュリティエンジニアに必要な資格の勉強方法
資格に合格するためには、継続が大事です。継続するための勉強方法は以下のとおりです。
- 先輩に聞いて疑問を解消
- 待機期間で短期集中で勉強
- 夜間勤務の隙間時間を活用
4-1.先輩に聞いて疑問を解消
インターネットで調べても分からないことは、職場の先輩に聞いてみるのも選択肢のひとつです。
自分が取り組んでいる試験に合格した方に学習方法を聞けば、効率的な教材選びや勉強スケジュールの立て方などを教えてもらえます。
経験者の生きた知識は記憶に残りやすく、モチベーション向上にもつながります。
ただし、先輩への礼儀としても、事前に自分で調べてから、分からないところを質問する、といった姿勢を心掛けることも忘れてはいけません。
学習中に直面した不明点をまとめておけば、より的確なアドバイスをもらいやすくなるメリットもあります。

4-2.待機期間で短期集中で勉強
SES企業に在籍している方は、常駐先が決まるまでの待機期間を活用して、資格勉強を一気に進めるという方法もあります。
SES企業では、1週間から1か月の待機期間が発生することもあります。その間にCCNAやLPICなどを短期集中で学ぶと効率的です。
実際に待機期間を使って、クラウドの資格を取得して転職した結果、年収が上がった方もいます。
ただし、常駐先の決定が早まる場合もあるため、余裕を持った学習計画を立てることが重要です。実際にあるか分からない待機時間に期待して、勉強計画を立てるのは望ましくありません。
日頃から少しずつ勉強を続ける習慣を身に付け、待機期間が出た時にはスピードを上げる、といった工夫が必要です。

4-3.夜間勤務の隙間時間を活用
インフラエンジニアの監視・運用業務では、夜勤中に比較的自由な時間が生まれる場合もあります。
インシデントが少ない夜間帯には、参考書を読む・過去問を解くなどの学習ができます。
同じ職場には、モチベーションの低い同僚がいるかもしれませんが、周囲の雰囲気に流されず、自分の目標を見失わないことが大切です。
勤務で忙しい時など、疲れているときは無理をせずに、学習を継続するのがポイントです。
参考書を数ページ読むなど、日々の小さな努力の積み重ねが、試験合格へのカギとなります。
5.セキュリティエンジニアのスキル難易度表
セキュリティエンジニアのスキルについて表にまとめているので、あなたのキャリアパスの参考にお使いください。
スキルカテゴリ | 具体的なスキル・知識 | 目的/役割 | 習得難易度 | 代表的な資格・参考リソース |
---|---|---|---|---|
基礎 OS & ネットワーク | Linux/Windowsサーバー管理、TCP/IP、ルーティング、ファイアウォール設定 | 全てのセキュリティ対策の土台を理解し、構成ミスによる脆弱性を防ぐ | ★★☆☆☆ | CCNA, LinuC, CompTIA Network+ |
プログラミング & スクリプト | Python/Bash/PowerShell、自動化スクリプト、脆弱性 PoC 作成 | ツール自作・ログ解析自動化・攻撃再現 | ★★☆☆☆ | OSCP ラボ、Codecademy/Udemy |
ネットワークセキュリティ | IDS/IPS、VPN、NAC、ゼロトラスト設計 | 境界・内部ネットワーク防御と検知 | ★★★☆☆ | CompTIA Security+, Palo Alto PCNSE |
アプリケーションセキュリティ | OWASP Top 10、SAST/DAST、セキュアコーディング | 開発ライフサイクルで脆弱性を除去 | ★★★☆☆ | CSSLP, GIAC GWAPT |
クラウドセキュリティ | AWS/Azure/GCP IAM・KMS、CSPM、CIS Benchmarks | クラウド特有の攻撃面を最小化 | ★★★★☆ | AWS Security Specialty, CCSP |
脆弱性評価 & ペンテスト | 攻撃チェーン理解、Metasploit、Burp Suite、レッドチーム演習 | 弱点を攻撃者視点で洗い出す | ★★★★☆ | OSCP, GIAC GPEN |
SOC/インシデント対応 | SIEM (Splunk 等) 運用、EDR、Forensics、Threat Hunting | 早期検知と封じ込め、根本原因特定 | ★★★★☆ | GCIH, GCFA |
暗号技術・PKI | TLS/SSL、ハッシュ/電子署名、キー管理 | データ機密性と完全性を保証 | ★★★☆☆ | CISSP Cryptoドメイン, GIAC GCLD |
アイデンティティ&アクセス管理 | MFA、SSO、OAuth/OIDC、RBAC/ABAC | 適切な人物・システムだけがアクセス | ★★☆☆☆ | Azure AD, Okta Certs |
ガバナンス・リスク・コンプライアンス (GRC) | ISO 27001、NIST CSF/800-53、SOC2、NIS2/Circia | 経営・法規制観点でのリスク低減 | ★★★☆☆ | CISA, CISM |
脅威インテリジェンス | MITRE ATT&CK、IOC 分析、フィード統合 | 新興攻撃トレンドを先読みし対策 | ★★★☆☆ | CTI BluePrint, GIAC GCTI |
ソフトスキル | ロジカル&クリティカル思考、文書化、利害調整 | 技術提案・報告で経営層を動かす | ★★☆☆☆ | PMI-ACP, ビジネス文書講座 |
6.セキュリティエンジニアの転職はユニゾンキャリア
それでは最後に、IT専門の就活・転職支援サービス・ユニゾンキャリアについて紹介します。
6-1.ユニゾンキャリアのサービス特徴
ここまで本記事を読んでいただきありがとうございます。
エンジニア未経験の方がいきなりセキュリティエンジニアになるのは難しい、という現実もあります。
セキュリティエンジニアになりたいのであれば、まずはインフラエンジニアになってからキャリアアップしていく必要があります。
現在、セキュリティエンジニアにキャリアアップしていきたいなどのご相談から受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
口コミ評価
ユニゾンキャリアは、ITエンジニア専門の就活・転職支援サービスです。
おかげさまでお客様からご支持いただき、Googleの口コミ件数400件を突破し、総合評価4.8をいただいています。
ご相談から内定後のサポートまで「完全無料」で利用できますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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6-2.セキュリティエンジニアの転職成功事例

成功者インタビューより
ーエンジニアに転職しようと思ったきっかけを教えてください!
最初に考え始めたのは、転職しようって思いはじめた際に、別のエージェントに相談した時ですね。「給料を上げるなら営業かエンジニアです」って言われたんですけど、営業は性格的に無理かなと思ったので、じゃあエンジニアなのかなぁと思いました。ただ元々ITには興味がなかったうえに、文系の自分からは別世界のイメージがあったので、いまいち踏ん切りがつかなかったんですよね。そんな時に、幼馴染が文系出身でエンジニアとして活躍しているって知って。「あれ?私にもできるのかも?」って、初めてエンジニアを現実的な選択肢として考え始めました。
ー転職活動をはじめた時に不安だったことは何ですか?
もう、漠然と全部不安でした(笑)そもそも自分が何をやりたいのかも分からなかったんです。面接も苦手で新卒の時からできるだけ避けてきたタイプだったんです。志望動機も上手く言葉にできなくて…あと、前職の年収が割と良かったので、その面でも不安がありました。「仕事は変えたいけど、できれば年収は維持したい。土日祝日も休みたい」みたいな。条件面で折り合いがつかなかったらどうしようって。考え出すときりがないくらい不安でいっぱいでした。
ー転職活動にかかった期間はどれくらいでしたか?
全部で9か月くらいかかりました。ただ、ユニゾンキャリアさんを利用した期間でいうと、2ヶ月ちょっとになりますね。最初は他のエージェントを利用していたんですけど、そこでは応募を急かされて「とりあえず20社くらい応募して!」みたいな感じで。やりたいことも分からないままに求人を探していたので、どこに応募したのかも分からないような状態でした…結局他のエージェント経由で営業職の内定をもらっていたんですけど、なんか違うなっていうモヤモヤは残り続けて。エンジニアに方向転換し、ユニゾンキャリアさんに相談してからはスムーズに進めることができましたね。シフト勤務だったので、キャリアアドバイザーの石橋さんとの面談の日程調整が大変でしたが、柔軟に対応してくれて本当にありがたかったです!
ユニゾンキャリアでは、IT業界に精通した転職アドバイザーがキャリアの相談から内定までサポートします。
セキュリティエンジニアにキャリアアップしたい方は、お気軽にお問い合わせください。