最終更新日:2026.09.04
SESがなくならない?AIでなくなると言われる理由と働くメリットを解説
IT業界を本音で語る「ユニゾンキャリア編集部」の真心です。
本記事のトピックスはこちら!
- SESがなくならないと判断される構造的な理由とは?
- SES契約と派遣・請負の違いから見る存在意義は何か?
- 『SESはなくなる』『やばい』と言われる理由を、データで検証するとどうなるのか?
SESという業態の将来性に一喜一憂していませんか。「SESはなくなる」「SESはやばい」という情報を目にするたびに、自分のキャリアが不安定なのではないかと感じるのは無理もありません。
しかし、市場データと業界の構造を冷静に見れば、SESという働き方が急速に消滅する可能性は限りなく低いというのが現実です。ただし、ここで重要なのは「業態の存続」と「個人のキャリア安全性」は別問題だということです。
IT人材不足、企業のコスト構造、法的な枠組みという3つの観点から見ると、SES事業は構造的になくなりようがありません。しかし、その事実があなたの現在地で最適な選択を保証するわけではないのです。
重要なのは、SESの中でスキルを磨き続けられるのか、それとも自社開発企業でキャリアを積み直すべきなのかを判断することです。この記事では、SES市場の実態と個人が取るべき転職判断の基準について、データと構造から解説します。
記事の概要
本記事ではSESという業態の存続に一喜一憂せず、自分自身のキャリアを主体的にコントロールできる状態になりたい方を対象に、SESはなくならない理由と構造的根拠、SES契約の位置付けと存在意義、『SESはなくなる』『やばい』と言われる理由の検証について解説します。
1.SESはなくならない|結論と構造的な理由
「SESは今後なくなるのでは」という不安を抱くエンジニアは多くいます。しかし現実は異なります。
SESは構造的な理由から、今後も市場に存続し続ける可能性が高いのです。ただし重要な点として、SESという業態がなくならないことと、あなた自身のキャリアが安全であることは全く別の問題です。
1-1.結論|SESは今後もなくならない
SESが消滅する可能性は、現在のところ極めて低いと言えます。理由は単純で、企業側のニーズが途絶えないためです。
IT人材が枯渇している日本市場では、企業が自社だけで必要な人員を確保することが困難な状況が続いています。この構造的な人材不足が存在する限り、企業は一時的に人員を調整できるSESという契約形態に頼り続けるのです。
過去20年間、「SESはなくなる」という声は繰り返し上がってきました。にもかかわらず、SES市場は拡大し続けています。これはSESが企業経営の効率化に貢献する根本的な価値を持っているからこそです。
今後も技術進化や業界再編は起こるでしょう。しかしその変化の中でも、短期的に人員を確保し柔軟に対応する必要性は消えません。だからこそ、SESというビジネスモデル自体は存続するのです。
1-2.IT人材不足という需要側の構造
SES存続の最大の理由は、日本のIT人材が慢性的に不足している現実にあります。この需要と供給のギャップが、SES企業の存在価値を保証しています。
例えば、大手企業が新規プロジェクトを立ち上げる際、社内エンジニアだけでは人数が足りません。新たに採用活動をしても、市場に優秀な人材が十分にいないため、即戦力を確保することが難しいのです。
こうした局面で、SES企業から柔軟に人員を受け入れることは、企業にとって最も現実的な解決策となっています。
IPA(情報処理推進機構)の調査では、日本は2030年までにIT人材が最大78万人不足すると予測されています。この不足幅が埋まる見通しは立っていません。つまり、数年単位では着実にこの人材不足が続くということです。
SES需要を支える市場環境
- デジタル化投資の加速に伴う開発案件の急増
- エンジニア採用市場での人材争奪戦の激化
- 新人育成のコスト負担を避けたい企業の増加
- 3~6ヶ月単位の短期プロジェクト対応ニーズ
需要がある限り、それに応える供給が存在するのは市場の原理です。SESは現在も、そしてこれからも、企業の人材確保ニーズに直結した存在であり続けるのです。
1-3.企業のコスト構造から見る必要性
企業がSESを手放せない理由は、コスト効率にあるのです。経営判断の観点から、SESは依然として最適な選択肢であり続けています。
- 正社員を採用する場合:
人件費のほかに福利厚生、研修費、退職金積立などの固定コストを負担する必要がある - 対してSESの場合:
必要な期間だけ人員を確保でき、プロジェクト終了時に契約を解除すれば、その後の固定コストは発生しない
この変動費化できる仕組みが、企業の経営効率を大きく改善するのです。
特に大規模なシステム開発では、数十名から数百名規模の人員が一時的に必要となります。これを全て正社員で採用することは、プロジェクト終了後の人員配置に深刻な課題を生じさせます。一方SESであれば、その問題を回避できるのです。
例えば金融機関が大型システムリプレイス案件に取り組む場合、3年間で100名のエンジニアが必要なケースがあります。この100名を全て新規採用するコストと、終了後の人員調整を考えると、月額5~10億円規模の負担差が生じます。
SESを活用すれば、この負担を大幅に軽減できるため、CFO(最高財務責任者)の観点からも、SES活用は最優先選択肢なのです。
経営層が意思決定する際、常にコスト効率を考慮します。そしてSESは、その効率性を年々改善させながら、企業の経営を支える存在となっています。この構造が変わらない限り、SES市場も縮小しないのです。
1-4.法的枠組みが存続を後押しする理由
法的な側面から見ても、SESは継続的に容認・規制される形で存在し続ける設計になっていることが重要です。
過去、労働派遣法は何度も改正されてきました。その度に、派遣労働者の保護強化が進められています。
同様にSESに対しても、偽装請負や過度な搾取を防ぐための規制が強化されてきました。しかしその規制の枠組みは、SESというビジネスモデル自体を否定するのではなく、ルール内での運用を求める形になっています。
これは非常に意味深い点です。法律が「SESを禁止する」という選択肢を取らず、「SESをどう規制するか」という枠組みで議論されている事実は、法的観点からもSESが許容される存在であることを示しています。
SES規制の推移と現況
- 2015年労働者派遣法改正:直接雇用化の努力義務化
- 2020年:同一労働同一賃金ルール適用開始
- 現在:偽装請負監視の強化、給与下限基準の検討
- 今後の方向性:SES廃止ではなく、労働環境改善の継続
国が完全に禁止しようと考えれば、法的には可能です。しかし実際には、その判断をしていません。
理由は簡潔です。日本経済全体がSESなしで成立しない構造になっているからです。
その証拠に、規制強化が進む一方で、SES市場は拡大し続けています。つまり法的枠組みそのものが、SES存続を前提として設計されているということなのです。
2.SES契約とは何か|派遣・請負との違いから見る存在意義
SESという仕事形態を検討する際に、企業はなぜSES契約を選び続けるのか、そしてエンジニア個人にとってそれが何を意味するのかを理解することは、自分のキャリアを判断するうえで欠かせません。
SES契約の仕組みを派遣・請負との違いから正確に把握することで、これからのキャリア判断の軸が明確になります。
2-1.SES契約(準委任契約)の基本構造
SES契約は準委任契約という法的枠組みで、企業がエンジニア個人の労働成果ではなく「労働力そのもの」を時間単価で購入する仕組みです。
派遣や請負と異なり、成果物の完成や納期遵守が契約上の義務にはなりません。企業は決められた時間、決められた職場にエンジニアを配置し、その間の業務指示権を持つという関係が成立します。
例えば、3ヶ月間の案件で「毎月150時間、Java開発業務に従事する」という契約であれば、具体的な納品物が何であろうと、あるいは予定していた機能が完成しなくても、契約上の責任は果たされたと見なされます。
これが派遣(労働者派遣法で規制される雇用形態)や請負(成果物納品が前提)とは大きく異なる点です。
SES契約と他の契約形態を見分けるポイント
- 契約の対象が「時間・労働力」か「成果物」かで判断できる
- 納期遵守や品質保証が契約条件に含まれているかで区別される
- 企業側の業務指示権が契約書に明記されているかが重要な目安になる
この時間単価型の構造が、以降のすべての違いを生み出します。
2-2.派遣契約との違いが生む使い勝手の良さ
派遣と異なり、SES契約は派遣法で禁止される「3年ルール」や「同一労働同一賃金」の制約を受けないため、企業側の雇用調整が圧倒的に柔軟です。
派遣は同じ職場に3年以上同じ労働者を配置することが禁止され、また派遣社員と正社員の待遇格差に制限がかかります。一方、SES契約なら何年でも同じ案件に配置でき、時間単価さえ決まれば賃金体系の制約もありません。
企業にとって「今月は5人必要だったが、来月は2人でいい」という柔軟な調整が、法的な制約なしに可能になります。この自由度の高さが、SES企業側がSES契約を積極的に採用し続ける最大の経営的理由となっています。
派遣とSESの実務的な違いから見える採用企業の本音
- 派遣は「短期で必要な人員を埋める」用途に向く
- SESは「中〜長期に渡って柔軟に人数調整したい」需要に応える
- コスト削減だけが目的なら派遣、自由度と長期性を重視するならSESを選ぶ傾向がある
採用企業の採用戦略を読み取る材料になります。
2-3.請負契約との違いが生むリスク分散効果
請負は成果物(例えば完成したシステム)の納品が義務であり、納期遅延やバグ対応は受注企業の責任ですが、SES契約なら時間を売るだけなので納品責任がないのが最大の差です。
請負企業が仕様変更やバグ対応に追われて利益が圧迫される中、SES企業は決められた時間単価での収入が保証されます。言い換えれば、プロジェクト遅延や品質問題が起きても、SES企業のエンジニアが対応する法的義務はありません。
この違いは採用企業とSES企業の関係を大きく変えます。採用企業から見ると『納品責任なしで人員を調達できる』メリットが生じ、SES企業から見ると『納品義務がない分、見積もりや利益計画が立てやすい』というリスク分散効果が生まれます。
例えば、大型システム開発で予定外のトラブルが発生し、3ヶ月の延期が決まったとします。請負契約なら受注企業がその間の対応コストを負担しますが、SES契約なら追加の時間単価を請求できます。
この構造的な違いが、採用企業がSESの使い続ける理由になっています。採用企業にとって『安定した人員調達』が実現するわけです。
2-4.企業側がSESを選び続ける経営上の理由
IT人材不足が続く中で、採用企業は「正社員採用の手間と採用後の育成コスト」を避けるために、SES契約で人員を柔軟に調整できる仕組みを手放せなくなっているという現実があります。
新卒採用や経験者採用には採用コスト(広告費、面接担当者の工数)、オンボーディング期間(生産性が上がるまで3〜6ヶ月かかる)、雇用契約に基づく解雇制限があります。一方、SES契約なら初日から戦力として配置でき、案件終了時に契約を終わらせるだけです。
採用市場が売り手市場である限り、企業側は『着実に来月も同じ人員が必要か分からない』という不確実性を避け、SES契約という『柔軟に調整できる人員調達』を選び続ける構造になっています。
採用企業がSES契約を選ぶ主要な経営上の理由
- 正社員採用の採用コスト(平均100万円前後)を削減できる
- プロジェクト規模に応じて人数を柔軟に増減できる
- 雇用契約上の解雇制限がなく、案件終了で契約終了できる
- IT人材が足りない中で『即座に人員を補充できる』スピード感
これらの経営的メリットが、SES市場の存続を支えている根本的な理由です。ただしこの構造は、採用企業にとってのメリットがエンジニア個人にとっても同じメリットになるとは限りません。
採用企業にとって『柔軟に調整できる人材』は、エンジニア個人にとっては『入れ替え対象になりやすい人材』という意味にもなりうるからです。
3.SESは「なくなる」「やばい」と言われる理由を検証する
「SESはやめておけ」「SES業界は衰退する」といった声をネット上でよく見かけます。しかし、この言説の多くは、SES業態そのものの消滅ではなく、個人のキャリア停滞リスクを指しています。
ここでは、実際にどのような懸念が根拠にあるのか、そしてそれが本当に「SESはなくなる」という結論につながるのかを、4つの視点で検証していきます。
3-1.市場価値が上がらないという指摘の実態
SESエンジニアが市場価値を失いやすいという指摘は、完全な誤りではありません。ただし、これはSES契約そのものが市場価値を奪うのではなく、環境選びと本人の主体性に依存するという点が重要です。
SES企業の中には、エンジニアを案件に投入するだけで、スキル育成や技術的チャレンジへの配慮がない企業も存在します。同じ定型業務を繰り返し、企業の指示に従うだけという受け身の状態が続くと、確かにスキルの幅は広がりません。
転職活動時に「何ができるのか」を言語化できないエンジニアが増えるのは、こうした環境から生まれやすいのです。
一方で、SES企業の中にも成長投資型の企業があります。上流工程への関与を重視し、案件後のスキル棚卸しや技術トレーニングを用意し、エンジニアが主体的にキャリアを構築できる環境を作っている企業です。
こうした企業にいるエンジニアは、SES経験そのものが転職市場で評価されています。
市場価値が上がらないSES環境の見分け方
- 案件説明会や事前研修が最小限で、クライアント到着後にようやく業務内容を理解する
- 同じ部門に3年以上在籍するエンジニアが少なく、短期回転が当たり前
- 技術書購入補助や研修受講の制度が形骸化している、または存在しない
- 上司と面談して「何を学べたか」を振り返る機会がない
つまり、「SES=市場価値が上がらない」という公式は成立しません。環境と個人の動き方で、SESはスキル伸長の場にも停滞の場にもなるのです。
3-2.多重下請け構造への批判とその背景
SES業界の多重下請け構造は、エンジニアの給与低下と労働環境悪化の主因として批判されます。この構図を理解することが、業界の実態を見分ける上で不可欠です。
典型的なSESの取引フローでは、大手企業が人員ニーズを感じると、大手SES企業に依頼します。大手SES企業がその案件を中堅SES企業に回し、中堅企業がさらに小規模企業に回すというように、何段階もの企業を経由します。
各段階で仲介企業が利益を抽出するため、現場に配属されるエンジニアの単価は元値の50〜70%程度まで低下することも珍しくありません。
さらに、下請け企業ほど人事評価制度が不透明で、エンジニアのキャリアパスが不明確になりやすいという問題もあります。単価圧縮により、教育投資を控える傾向も顕著です。
その結果、同じ案件に参加していても、元請けのSES企業に直属するエンジニアと下請け企業のエンジニアでは、給与・評価・育成機会で大きな差が生じます。
ただし、全てのSES企業が多重下請けを活用しているわけではありません。規模の大きなSES企業や、クライアント企業と直接契約を主体とする企業では、この構造が緩和されています。
業界が衰退するというより、下請け層のSES企業に属するエンジニアほど市場価値が低下しやすいという、より正確な指摘が成り立ちます。
3-3.違法性のあるブラックSES企業の存在
ネット上で「SESはブラック」という言説が広がる背景には、違法性のあるSES企業の存在が着実に関係しています。労働基準法違反や契約ルール逸脱が行われている企業が、業界全体の評判を低下させているのです。
よく指摘される問題事例としては、次のようなものが挙げられます。準委任契約であるにもかかわらず、クライアント企業から直接的な指示を受け、実質的に派遣労働と同じ状態に置かれるケース。
契約期間中のプロジェクト終了で急に給与が減額されたり、次の案件までの間、不当に低い日当を強要されるケース。オンコール対応や休日呼び出しを給与に反映せず、事実上のサービス残業が常態化している企業も散見されます。
さらに、エンジニアの転職を制限するような契約条件を押し付ける企業も存在します。「競業避止契約」の名目で、特定企業への転職を禁止し、エンジニアの選択肢を狭める手法です。
これらは労働契約法の観点から問題のあるケースが多いにもかかわらず、十分に周知されていません。
ブラックSES企業の危険信号
- 面接時に「クライアント企業への長期配置」が前提のように説明されている
- 給与の明細内訳(基本給・案件手当・オンコール手当など)が不透明で、質問に曖昧な回答をされる
- 契約書に「競業避止」「転職禁止」という条項が入っていないか事前に確認できない
- 有給休暇の取得実績や平均残業時間を質問しても、企業側が具体的データを示さない
こうした違法性の問題は、SES業態そのものの欠陥ではなく、悪質な企業運営の結果です。業界全体が同じ水準にあるわけではないため、企業選びの段階で見極めることが極めて重要になります。
3-4.AI・自動化でSESが不要になるという説の検証
「AIやRPA、自動化の進展でプログラミングやテスト業務が不要になり、SES企業の需要がなくなる」という予測を見かけることがあります。しかし、この仮説は現実の労働市場の動きと乖離しています。
確かに、定型的なテスト業務やデータ入力は自動化の対象になりやすいでしょう。しかし、SES企業が提供する価値の全てが自動化に置き換わるわけではありません。
むしろ注視すべきは、自動化により「単価が低い定型業務のニーズ」が減少するという現象です。自動化できる仕事は企業内で処理され、高度な判断や創造性が必要な案件だけが外部に出されるようになります。
その結果、単純な業務スキルだけで稼ぐSESエンジニアの需要は減り、高度なスキルを持つエンジニアへの集中が進みます。
「SESがなくなる」という議論は、こうした産業構造の変化を、業態消滅と誤読している部分が大きいと言えます。正しくは、「市場価値の低いエンジニアが淘汰される時代が来ている」というのが、より正確な表現です。
4.SESがなくなる派・なくならない派の主張を比較してわかる実態
「SESはなくなる」という意見と「SESは存続する」という意見が対立しているのは、両者が別の視点から述べているからです。
業態としてのSES市場は着実に存続しますが、その中で市場価値を失うエンジニアと高めるエンジニアの二極化が同時に進行しています。
つまり、会社の存続と個人のキャリア安全は全く別の問題なのです。ここでは、対立する両論の根拠を整理し、本当の構図を見えやすくします。
4-1.表で見るなくなる派・なくならない派の根拠比較
「SESはなくなる」と「SESは存続する」の主張は、実は指す対象が異なっているため対立しているように見えます。なくなる派は個人エンジニアの市場価値低下を危惧し、なくならない派は業態としての需要継続を指しているからです。
具体的には、なくなる派は以下の観点から「SESはやばい」と述べています。
なくなる派が根拠にする点
- スキルが伸びにくい環境では、市場価値を失うリスクが高い
- 客先常駐で受け身のままだと、自分の実績として言語化できない
- 5年SES経験でも、転職市場では評価されにくいケースが多い
- AI化やオフショア化で、単価の低い常駐型の需要は減少傾向
一方、なくならない派は市場構造と企業ニーズから「SES契約は継続する」と述べています。IT人材不足が慢性化する限り、企業は柔軟な人員調整手段としてSES契約を活用し続けるということです。
両者の主張は実は相反していなく、「業態の存続」と「個人の市場価値」という異なる軸を述べているだけです。ここを理解することが、読者が自分のキャリア判断を正しく行う第一歩になります。
4-2.両論を統合すると見えてくる本当の構図
SES業態は構造的になくなりませんが、その中にいるエンジニアのキャリア価値は企業と案件選びで大きく左右されます。つまり、「SES企業に在籍すること」と「SES環境でキャリアを失わないこと」は全く別の問題です。
SES契約が廃止されない理由は明確です。企業側は固定費化を避けたい一方、即戦力が必要な時期があります。
SES(準委任契約)なら、必要な期間だけ人材を確保でき、プロジェクト終了時に調整できます。派遣や請負では代替できない柔軟性があるため、IT人材不足が続く限りSES需要も継続するものです。
しかし、SES企業に在籍していても、働き方次第で市場価値は大きく変わります。成長投資型の企業で上流工程に携わり、実績を言語化できるエンジニアは転職市場で評価されます。
一方、スキル消費型の企業で受け身のまま案件をこなすだけなら、経験年数を重ねても市場価値は高まりにくいのです。
4-3.会社の存続と個人の市場価値が別軸である理由
SES企業という親組織の経営状況が安定していても、そこで働く個人のキャリア資産が自動的に増えるわけではありません。これが多くの読者が不安を感じている根本的な理由です。
会社の存続は業態構造(SES市場があるかどうか)で決まります。一方、個人の市場価値は案件内容、関わる工程、身につくスキル、実績の言語化といった、より細かい要素で決まるのです。
具体例として、同じSES企業に5年在籍したAさんとBさんを比較します。Aさんは提案型の案件に3件携わり、要件定義から導入支援まで一気通貫で経験し、実績をポートフォリオに記載できました。
Bさんは単価の都合で常駐先が頻繁に変わり、各地でテスト業務やサーバー保守を担当し、「5年の経験があります」としか言えません。
転職市場では、Aさんは好条件で内定を得られますが、Bさんは同じSES出身というだけでは評価されにくいのです。
SES企業の経営状況がよくても、個人の市場価値を高める環境が整っているかは別問題です。これを理解すれば、「SESがなくならない=今の会社にいても安全」という思い込みから抜け出せます。
5.SESエンジニアとして働くメリットとデメリット
SESで働くことは、業態としての安定性と個人のキャリア成長が必ずしも一致しない環境です。同じSES企業でも、案件の質や企業の投資姿勢によって、エンジニア個人が積める経験は大きく異なります。
ここでは、SESという働き方の現実的なメリットとデメリットを、転職を検討する際に判断基準となる観点から整理します。
5-1.メリット|多様な現場で経験と人脈を広げられる
SESは複数の顧客企業で異なるプロジェクトに関わるため、幅広い業務経験を短期間で積める環境です。自社開発企業では1つのプロダクトに関わり続けるのに対し、SESなら金融システムから流通、公共インフラまで、様々な業界・技術スタックを経験できます。
この多様性が転職時に評価される理由は、異なる環境への適応力や、複数の技術選択肢を実装経験として持っている点が、採用企業にとって即戦力になるからです。また、複数の企業で仕事をすることで、業界内の人脈も自然に構築されます。
ただし、この利点を活かすには受け身の姿勢では足りません。配属された案件ごとに、何を学び、どの技術を習得したかを言語化する必要があります。単に案件をこなすだけでは「経験が増えた」に過ぎず、「市場価値が高まった」にはならないのです。
多様な現場経験を転職力に変えるために、確認すべき項目
- 配属先企業の業界・業務内容・使用技術を記録しているか
- 各案件で担当した機能の規模感や成果を数値化できるか
- 異なる環境での対応力を、具体的な工夫や判断として説明できるか
転職市場では「何社でプロジェクトを経験したか」よりも「そこから何を学び、どう貢献したか」が評価されます。
5-2.メリット|残業や責任範囲が限定的な現場が多い
SESの多くの案件は、顧客企業の既存システムの保守・運用・テストといった限定的な役割であるため、営業時間内での業務完結と責任範囲の明確さが特徴です。深夜の緊急対応やシステム障害時の無限責任を背負わずに済む環境が多く、ワークライフバランスを重視したいエンジニアには実際のメリットになります。
特に子育てや家族との時間を優先したい30代エンジニアにとって、責任と時間の限定が予測可能なキャリアを作りやすい環境という現実もあります。自社開発企業ではサービス全体への責任が重くのしかかるのに対し、SESは契約範囲内の業務に専念できるのです。
しかし、この「責任が限定的」という点が、スキル成長の停滞にも直結しやすいという認識が必要です。責任が小さい案件ほど、学べる内容も限定的になります。
短期的なワークバランスと長期的なキャリア成長のトレードオフを理解した上で、案件選択することが重要です。
例えば、月次決算システムの定期メンテナンス案件と、新規決済機能の開発案件では、同じ金融システムでも習得できる技術の深さが大きく異なります。
前者は限定的な知識で対応可能ですが、後者は設計思想や業務要件の理解が必須になります。SES企業の中でも、こうした成長機会のある案件をどう割り振られるかで、キャリアの軌跡が決まるのです。
ワークバランスを名目に成長機会を失うか、負荷をかけながらもスキルを高めるか。その選択が、転職時の市場価値を分ける分岐点になります。
5-3.デメリット|案件次第でスキルが偏る・停滞する
SESで最大のキャリアリスクは、配属される案件が自分で選べず、スキルが一方的に偏りやすい環境にある点です。例えば、テスト業務ばかりの案件に3年配属されれば、開発スキルは進まず、市場で求められるスキル像とかい離していきます。
この停滞は、企業側の人員配置と利益構造が関係しています。SES企業は顧客の要望に応じて人員を配置するため、個人の成長機会よりも顧客満足度や稼働効率が優先される傾向が強いのです。
つまり、「このエンジニアは次のステップに進むべき」と判断しても、現場で必要とされれば配置は変わらないという構造的な問題があります。
さらに危険なのは、停滞を自覚しないまま年数だけ重ねてしまうケースです。5年のSES経験があっても、実際には単一スキルだけの深堀りに終わり、転職市場では「スキルの幅がない」と評価されることは珍しくありません。
スキル停滞の兆候。該当したら注意が必要
- 過去1年で新しい技術・言語・フレームワークに触れていない
- 現在の案件と前の案件で、やっている業務が大きく変わっていない
- 配属前に案件内容を教えてもらったとき、「これなら自分にもできる」と思ってしまう
- SES企業内で上流工程(設計・企画)の経験を積むプランが示されていない
スキル停滞を防ぐには、配属の際に成長機会を交渉すること、あるいは並行して個人学習や副業で新しい技術を積極的に習得することが必須になります。
5-4.デメリット|収入や評価制度が不安定になりやすい
SESの給与体系は、顧客企業との契約単価と稼働率(案件がついている期間)に直結するため、案件が途切れると収入が大きく減少するリスクがあります。自社開発企業では固定給が保障されるのに対し、SESは単価×稼働期間で月給が変動する仕組みです。
特に景気変動時や業界不況期には、顧客企業が案件を中止・縮小することがあり、SES企業の営業努力で次の案件を確保できなければ、給与がカットされるか休職状態になるという不安定性が生まれます。
30代で家族がいるエンジニアにとって、この収入の不確定性は大きなストレスになります。
評価制度も同様に不安定です。配属先企業の評価が、SES企業での昇進や給与に反映されるまでのプロセスが不透明なケースが多く、いくら現場で成果を出しても、評価者である営業管理者にそれが正確に伝わらないという問題も存在します。
具体的には、A氏がある顧客企業で高く評価されても、SES企業の評価制度では「顧客の単価が安い案件だから昇進・昇給の対象外」という判断が下されることもあります。
個人の成果が、配属先の案件単価と評価制度の透明性に左右されるのが、SESの構造的なデメリットです。
この不安定性を理解した上でSESに留まるのか、それとも固定給で評価制度が明確な企業へ転職するのかが、30代の重要な判断になります。
6.SESで辞める人・生き残れない人に共通する特徴
SESがなくならないという事実は、業態の存続を意味するだけで、そこで働く個人の市場価値が守られることを保証しません。実際のところ、同じSES環境にいても市場価値を高める人と低下させる人に二極化が進んでいます。
その違いは何か。淘汰される側に共通する4つの特徴があります。
6-1.案件のアサインを会社任せにしてしまう人
案件を受け身で受け入れ、スキルの成長を会社に依存する人ほど、SES環境で市場価値を失いやすくなります。
SES契約の特性上、配属先は企業の都合で決まります。しかし、淘汰される人の多くは「配属先は会社が決めるもの」と思い込み、案件選択の主体性を持ちません。
一方、市場価値を高める人は、提案される案件の内容を吟味し、自分のキャリアに何をもたらすのかを判断してから受け入れるという判断軸を持っています。
具体例として、同じSES企業で3年働いた2人を比較してみましょう。一方は「与えられた案件をこなす」を繰り返し、技術スタックも業務内容も一貫性がありません。
もう一方は「次の転職で評価されるスキルは何か」を念頭に置き、提案された案件の中から戦略的に選び、関連技術を掘り下げてきました。転職市場では、この差が決定的になります。
案件選択で確認すべき判断材料
- 使用技術スタックが自分の専門領域を深掘りできるか、それとも浅く広がるか
- 上流工程(要件定義・設計)に関与できる案件か、それとも実装だけか
- プロジェクト終了後、その経験を転職市場で言語化できるか
- 同じSES企業の他の候補と比べて、市場価値が高まる可能性があるか
会社任せのままでは、3年後も5年後も「SES経験者」という曖昧なラベルだけが残ります。
6-2.上流工程や技術選定に関与しない人
下流工程だけに携わり、意思決定プロセスに関与しない人は、転職市場で「実装作業者」としてしか評価されません。
SES案件の中には、要件定義から関わるものと、既に決まった仕様の実装だけをするものがあります。淘汰される人は前者の機会があっても受け身でいるため、後者に固定化してしまいます。
転職市場では、技術スキルと同じくらい「判断・決定に関わった経験」が重視される傾向です。なぜなら、企業の中核人材として機能するには、単なる実装スキルではなく、プロジェクト全体を見通す視点が必要だからです。
例えば、あるSES企業での案件で「テスト項目の削減によるコスト最適化を提案」という経験と「テスト仕様通りに実行」という経験では、転職時の評価が異なります。前者は意思決定に関与した証拠であり、後者は作業実績に過ぎません。
実装だけの案件に留まってしまう理由の多くは、「指示されたことをやることが評価される」というSES環境の暗黙の前提です。
しかし、その前提を疑い、「現場で何か改善提案できることはないか」「このプロセスの背景にある意図は何か」という問い方を習慣にするだけで、上流工程への関与は自然に増えます。
上流工程への主体的な関与がなければ、個人の市場価値は案件期間中に頭打ちになります。
6-3.実績や経験を言語化・可視化できていない人
SES経験を転職市場で通用する実績に変換できない人は、市場価値が極めて低く評価されます。
SES案件では、プロジェクトの成果物(システムやサービス)は顧客企業のものになり、個人のポートフォリオにはなりません。そのため、自分が何をしたか、何が変わったかを言語化する能力が、SES環境での市場価値を決める最大の要素になります。
淘汰される人は「3年間SES案件に携わりました」という事実だけで転職活動をし、具体的な実績や工夫が伝わりません。そのため、以下のような切り口を作れないか、ご自身の経験やスキルの棚卸しを行ってみましょう。
実績を言語化するための4つの切り口
- 技術的な工夫(使用した技術、工程短縮、自動化など)
- 数値化できる成果(工数削減率、品質向上、納期短縮など)
- ビジネス視点の貢献(コスト削減、顧客満足度への影響など)
- チーム内での役割(リードエンジニア、マネジメント経験など)
言語化がないままでは、何年働いても「SES経験」という評価から抜け出せません。
6-4.スキル消費型の企業から抜け出せない人
スキル消費型のSES企業に留まり続ける人は、環境に依存したまま市場価値の低下に気づきません。
SES企業には、大きく2つのタイプがあります。一つは「エンジニアの成長に投資し、キャリアを見据えた案件配置を工夫する成長投資型」で、もう一つは「短期的な利益最大化のため、案件の回転率を優先するスキル消費型」です。
淘汰される人の多くは、スキル消費型の環境に気づかないか、気づいても「動きにくい」という理由で留まり続けます。2〜3年経つと、成長投資型との差が市場価値で明確に表れます。
スキル消費型企業の特徴は、案件が短期ジョブ化し、技術の掘り下げより案件数の消化が優先されることです。その結果、エンジニアは浅く広い経験だけが積み重なり、「何ができるのか」が曖昧になります。
一方、成長投資型は同じプロジェクトを長く担当させ、技術の深掘りと責任のある役割を経験させる傾向があります。
自社がどちらのタイプか見極めるには、採用面接時に「未経験入社の方は1年後、2年後にどのようなキャリアを期待していますか」と質問してみてください。
明確な答えが返ってくる企業は成長投資型の可能性が高く、曖昧な返答に終わる企業はスキル消費型の可能性が高いです。
スキル消費型の環境に気づき、そこから抜け出すか転職活動を並行するかの判断が、今後の市場価値を大きく左右します。
7.SESで長く働き続けるためにすべきこと
SESという業態がなくならないという事実は、あなたの会社に留まることの安全性を意味しません。むしろ重要なのは、SES環境の中でも市場価値を高め続けられるかどうかです。
焦って転職を急ぐ必要はありませんが、在職中から準備できる具体的な行動があります。ここでは、SES企業に残りながら転職市場での評価を上げるための4つのアクションを解説します。
7-1.上流工程・要件定義に関わる案件を選ぶ
SES環境でスキルの停滞を防ぐには、案件を選ぶ主体性が必須です。特に上流工程や要件定義に関わる案件は、単なる開発作業よりも顧客の課題を理解し、提案する力が養われます。
なぜなら、SESの宿命として配置先は営業や営業パートナーが決めることが多いからです。しかし、契約更新時や案件終了時に「次はこういう案件を希望したい」と意思表示できる人材には、配置先も応えようとします。
このアクティブな姿勢自体が、市場価値の判断材料になるためです。
上流工程や要件定義は、プロジェクトの初期段階で進む業務です。そこでの経験は職務経歴書に書きやすく、転職面接でも「企画や提案に参加した」という実績が相手に伝わりやすいのです。
案件選びで確認すべき3つのポイント
- 要件定義やシステム設計の段階から参画できるか
- 顧客との会議や打ち合わせに同席する機会があるか
- 提案書作成やドキュメント整備に関わる可能性があるか
これらが揃った案件なら、あなたが「単なる開発者」ではなく「ビジネスに貢献する人材」として市場で評価される道が開けます。
7-2.特定技術領域で指名されるスキルを磨く
SES環境で淘汰を避けるには、広く浅い知識よりも特定領域での深さが生命線です。転職市場では「何でもできます」よりも「この技術なら任せて」という専門性が圧倒的に評価されます。
配置先企業は、その時々の案件に合わせてエンジニアを選びます。すると、コロコロ異なる技術スタックに振り回される人と、「この人はJavaの設計なら一流」という評判を得る人に分かれます。
後者のような指名度の高さがあれば、単価交渉にも、転職時の年収交渉にも有利に働きます。
重要なのは、その領域で単にコードを書くのではなく、パフォーマンス改善やアーキテクチャの提案、新人指導ができるレベルに到達することです。
そういう実績があれば、職務経歴書にも「Javaでの〇〇件のプロジェクト、平均稼働率〇〇%」と数字で書けます。
7-3.実績を職務経歴書に書いて言語化する練習をする
SES経験をそのまま職務経歴書に書くと、内容が薄く見えることが多いです。それは、あなたのスキルが低いのではなく、言語化の工夫が足りないだけです。
一般的なSESの職務経歴書には「〇〇プロジェクトにおけるJava開発」とだけ書かれていることがあります。しかし転職企業が見たいのは、そのプロジェクトで「あなたが何を成し遂げたか」「どのような課題を解決したか」です。
同じ案件にいても、実績の伝え方次第で、採用側の受け取る価値は大きく変わります。数字を入れた言語化は、転職市場でのあなたの価値を一気に高めます。
例えば、バグ修正が多かった案件なら「バグ検出率を従来比30%削減した改善施策を提案・実装」と書く。負荷対策を経験したなら「データベースクエリの最適化で応答時間を50%短縮」といった具体数値を盛り込む。
このように意識的に実績を言語化する習慣があれば、転職活動を始めるときに職務経歴書の質が格段に上がります。
職務経歴書に数値化できる4つの視点
- 技術面:バグ率低下、応答時間改善、コード品質スコア向上
- 生産性面:開発期間短縮、工数削減、納期達成率
- 運用面:障害対応時間短縮、可用性向上、保守性改善
- チーム面:後進指導人数、ドキュメント整備件数、提案採用数
今この瞬間から、日々の案件で小さな成果でも「これは数字に落とせるな」と意識することが、後々の転職活動を大きく有利にします。
7-4.SESに残りながら転職活動を並行する戦略
SESにいるからこそ、転職活動を並行させることは十分可能です。むしろ、現在の配置先で実績を作りながら、同時に市場価値を確認することが最も効率的です。
実際に、転職活動を始める際は、以下の進め方を意識してみましょう。
転職活動の進め方
- 転職エージェントに登録し、経歴に対してどのような企業から声がかかるかを把握する
- 相場年収(目安)などの客観的情報を入手する
- 客観的情報を知った上で「今の会社に残る」と判断する
- 情報を知らずに不安のまま残るのではなく、心理的な充実度の違いを踏まえる
また、転職活動の過程で「この技術をもっと深掘りしたい」という新しい気づきが生まれることもあります。これは現在の案件選びにも良い影響を与えます。
多くのSES経験者は「すぐに転職するつもりでなければ、エージェントに登録するべきではない」と考えていますが、これは誤解です。情報収集と自己評価のために、早期から市場と接点を持つことが、キャリア主体性を取り戻す第一歩になります。
SESが「なくならない」のは事実ですが、だからこそあなた自身が市場で選ばれ続ける人材になること。それが、SES環境での長期キャリアを守る唯一の方法なのです。
8.将来性のあるSES企業の見分け方とキャリアの選択肢
SESという業態が存続するとしても、あなたが今いる会社が同じ方向を向いているとは限りません。残留か転職かを決める前に、自社の性質と自分の実績を客観的に確認しておく必要があります。
8-1.成長投資型とスキル消費型の見分け方チェック
成長投資型は研修や上流案件への挑戦機会を用意し、社員のスキル向上を収益源とみなす傾向があります。一方でスキル消費型は、稼働率の維持を優先し、同じ工程の作業を繰り返させる傾向が強くなります。
確認する際は、直近1年で担当した案件の工程や技術範囲が変化したかどうかを振り返ってみてください。変化がなければ、あなたの環境はスキル消費型に近い可能性があります。
企業の何を見て転職を検討すべきか
- 直近1〜2年で担当工程が上流方向へ広がったか
- 研修・資格支援・技術勉強会などの制度が実際に使われているか
- 案件アサイン時に希望や適性のヒアリングがあるか
この3点のうち2つ以上に当てはまらない場合は、今の環境が自分の市場価値を伸ばしにくい状態にある可能性を疑ってください。
8-2.還元率・案件選択制など優良企業の共通条件
優良なSES企業には、還元率の開示や案件選択制など、社員側に納得感を持たせる仕組みが共通して存在します。これらの条件は、会社が社員を単なる稼働リソースとして扱っていないかを判断する手がかりになります。
還元率とは、あなたが企業にもたらす売上のうち給与に反映される割合を指し、開示に応じない会社は待遇の透明性に課題を抱えているケースが多いです。案件選択制の有無も、あなたが自分のキャリアの方向性を選べるかどうかに直結します。
次の表は、優良企業に多い条件と注意が必要な企業の条件を整理したものです。転職前の企業比較にもそのまま使えます。
| 比較項目 | 優良企業に多い条件 | 注意が必要な条件 |
|---|---|---|
| 還元率 | 60%以上を開示 | 非公開・回答をぼかす |
| 案件選択 | 複数案件から選べる | 会社都合で一方的に決定 |
| 契約更新 | 本人の意向を確認 | 本人不在で更新される |
この整理を見て、今の会社が「不透明」「一方的」の側に多く当たるなら、それは残留の安全性を疑うサインです。
8-3.SES経験者が転職市場で評価される実績の作り方
転職市場でSES経験者が評価されるのは、担当した案件の内容そのものではなく、そこでの役割と主体性です。同じ客先常駐でも、指示されたタスクをこなしただけの人と、課題を見つけて改善提案をした人では評価が大きく変わります。
面接官が見ているのは、あなたが工程のどこまで関与し、どんな判断をしたかという再現性のある実績です。案件名や使用技術の一覧だけでは、主体性の有無が伝わりません。
具体例
ある30代のSESエンジニアは、常駐先で発生していたテスト工程の手戻りに気づき、チェック項目を自主的に整理して工程を短縮しました。この経験を「課題発見から改善提案、実行までを主導した」と言語化したことで、自社開発企業の書類選考を突破しています。
あなたも今の案件の中で、指示された以上の判断をした場面を振り返り、それを行動と結果の言葉で説明できるように整理しておくことが、次の一歩の準備になります。
8-4.残留と転職どちらを選ぶかの最終判断基準
残留と転職の判断は、会社が成長投資型かどうかと、あなた自身に語れる実績があるかどうかの2軸で決まります。残念ながら、SESという業態が続くこと自体は、どちらを選ぶべきかの答えを教えてくれません。
成長投資型の会社に在籍し、実績も言語化できている場合は、残留しながら還元率や案件を交渉することが有効です。反対に、スキル消費型の環境に長くいて実績の言語化も進んでいない場合は、市場価値が下がる前に動き出す必要があります。
まずは自社が成長投資型かスキル消費型かを見極め、自分の実績を一度言葉にしてみることから始めてください。判断に迷う部分が出てきたら、その時点が客観的な評価を求めるタイミングです。
9.SESの将来性に関するよくある質問
ここまでSESの構造的な存続理由と、個人が市場価値を高める方法を解説してきました。最後に、読者の方から特に多い3つの疑問へ回答します。残った不安を解消し、次の判断につなげてください。
9-1.SESは何年で辞める人が多いですか?
SES業界では入社3年前後で転職を考える人が多いのが実態です。これは新人研修から現場配属までの期間を終え、実務経験がひと区切りつくタイミングと重なります。
理由は、3年目前後で案件の変化や評価の頭打ちを感じやすいからです。同じ現場に長期常駐すると、スキルの幅が広がりにくくなります。
実際に確認すべきなのは、自分が今どの案件で何を担当しているか、そしてこの1年でスキルが増えたかどうかです。棚卸しをすると、辞め時かどうかの判断材料になります。
辞め時を判断する確認項目
- 直近1年で新しい技術や工程に関われたか
- 案件の変更や希望が通った実績があるか
- 上流工程への関与機会が増えているか
年数だけで判断せず、上記の項目を照らし合わせることが大切です。こちらの記事「SESを辞めたいと感じる理由7選」も参考に、自分の状況を整理してみてください。
9-2.SESは今後も将来性がありますか?
SES事業そのものは今後も存続する可能性が高いと考えられます。IT人材不足が慢性化しており、企業が柔軟に人材を確保する手段として需要が続くためです。
ただし事業としての将来性と、個人のキャリアの将来性は別の話である点に注意が必要です。会社が生き残っても、自分のスキルが停滞すれば市場価値は下がります。
| 観点 | 事業としてのSES | 個人のキャリア |
|---|---|---|
| 存続性 | 人材不足を背景に継続見込み | 案件・環境次第で変動 |
| 評価軸 | 契約数・稼働率 | 実績・言語化された経験 |
| リスク | 低い(業態消滅リスク小) | スキル停滞・案件依存 |
この違いを理解すると、会社選びだけでなく自分の成長機会を見極める意識が生まれます。
9-3.SESがやばいと言われる理由は何ですか?
「SESがやばい」という声の多くは、案件を選べず成長機会が乏しい環境への不満が背景にあります。業態全体の問題というより、個々の企業や現場の質に起因するケースが目立ちます。
その根拠として、客先常駐先の業務内容が固定化し、スキルの幅が広がらないという声が多く聞かれます。また、パワハラや評価不透明といった職場環境の問題も指摘されています。
具体例を確認すると、判断の解像度が上がります。
具体例:やばいと感じやすい状況
- 同じ単純作業の案件から数年動けない
- 上司や現場担当者から理不尽な扱いを受ける
- 評価基準が曖昧で昇給・昇格の道筋が見えない
こうした状況に心当たりがある場合は、環境そのものを見直す時期かもしれません。SES(客先常駐)のパワハラの回避方法も併せて確認し、自分の状況と比較してみてください。
10.システムエンジニアの転職はユニゾンキャリア
「エンジニア転職の進め方が分からない」と悩む方は多いです。そんなときは、ユニゾンキャリアの転職アドバイザーと二人三脚で転職活動を進めてください。
10-1.システムエンジニアの転職成功事例①
成功者インタビューより
転職しようと思ったきっかけを教えてください
今まではバイトとフルートの仕事を両立していて、このままでも良いかなとは思っていたんですが、正社員経験が無くて苦労した経験もあり、社会的信用がある社員になろう思ったのがきっかけです。
ただ、自分で転職の準備するのが難しくて…最終面接までは行けたんですけど、すごい圧迫面接でイライラして思わず「は?」と言ってしまい、落ちちゃいました…(笑)
バイト先に居続けてもなんの資格も取れないし、なんのキャリアにもならなくて、人生80年まで現役でいなきゃいけないって考えたときに、家でもできるパソコン系の仕事の方が肉体労働と比べると需要があるかなと将来のことを考えたうえでIT系に転職しようと決意しました。
あとは母が病気にかかってしまって、手に職を付けようと思ったのもきっかけの一つです。
現職に決めた理由は何でしたか?
教育体制がしっかりしてたり、20代で転職したい企業ランキング1位になってたこともあり、現職に決めました。
正直、悪い口コミもあったんですけど、エンジニアなら当たり前のものばかりだったので特に気にしませんでした。
あとは、ひとりひとりに主任がついてくれるところも安心できますね。
研修は2~6ヶ月って書いてあって、給料はそんなに高くはないんですけど、未経験なら仕方ないかなと思いますし、本来お金払って勉強する内容なのであまり苦ではないです。
面接官の人から聞いたんですけど、社員の方はみんな周りの人を思いやることができる方々ばかりで、自分が持っている教材を渡しあったりして勉強しているとのことだったので、職場の人間関係でも困ることがなさそうです。
面接の雰囲気もとても良くて、最初の説明会ではこんなに和気あいあいとしたのは始めてだよと言われるくらいリラックスしていました。
他にもコミュニケーションを大事にする会社なのでそこも決め手の1つでした。
正直な話、エンジニアはハッカーみたいにあんまりしゃべらないミステリアスなイメージがあったので、ギャップに驚きましたね。
ユニゾンキャリアを利用してどう思いましたか?
特に不満はなかったですね。
全部が順調に進んでいって、予定が空いたらすぐに「面談しますか?」って連絡くれるし、相談したらすぐに答えてくれたりと、すごく寄り添ってくれて安心感もあります。
土日祝日も対応してくれますし、夜遅い時間にLINEした時も、「今帰り道で時間あるんで大丈夫ですよ」と対応してくださり本当に助かりました。
あと、文章力にあまり自信がなかったので、履歴書の添削もしてもらいました。本当に転職活動の全てでお世話になりました。
10-2.システムエンジニアの転職成功事例②
成功者インタビューより
ーエンジニアに転職しようと思ったきっかけを教えてください!
将来を見据えたときに、新しいキャリアを探す必要性を感じたからですね! 高校卒業後、寿司職人や焼肉店での料理長を務めていましたが、飲食業界特有のブラックな労働環境に不安を感じるようになって。 より自由な働き方を求めてUber Eatsの配達員になって、約4年間働いていました。 ただ、年を重ねるごとに、「このまま一生今の働き方でいいのかな」って考えるようになったんです。将来のことを考えたときに、「手に職をつけたい」という思いも強くなっていき… そんな中で、エンジニアという職業に注目したんです。
ーキャリアチェンジしてみていかがですか?
正直、異業種からの転職で不安もありましたが、今はわくわくしています!年齢的な焦りもありますが、会社や先輩がしっかりとサポートしてくれるので、安心して仕事に取り組めています。本当にストレスのない環境で、自己学習の時間も確保できるので、恵まれているなと感じています。
ーユニゾンキャリアのサポートで特に良かった点は何ですか?
担当キャリアアドバイザーの高成田さんとの面接対策ですね!すぐにフィードバックをいただけたのが特に良かったです。とりわけ印象に残っているのは、「IT関連のニュースについて聞かれたときの答え方」についてのアドバイスです。面接でIT関連のニュースについて聞かれたとき、ITmediaというサイトで情報収集を行っていることや能登半島地震での通信インフラ復旧の話題など、具体的に答えることができて。面接官の反応も良かったですね!もともと面接が苦手で、経験者とどう差別化していくか悩んでいたんですが、高成田さんのサポートのおかげで自信を持って臨むことができました。
ユニゾンキャリアでは、あなたの希望と異なる求人に応募させる、転職を急かすといったことは一切ありません。
自身のペースで、納得のいく転職ができるように、企業を厳選して紹介します。相談から内定後のサポートまで「完全無料」で利用できますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
